広島栗林良吏投手(25)が30日、マツダスタジアムで契約交渉に臨み、3700万円増の5300万円でサインした。球団の新人選手ではアップ額、231%のアップ率ともに昨年の森下を上回り、入団2年目の球団最高年俸額も更新した。広島にとどまらず、10年ソフトバンク摂津、16年DeNA山崎康、20年ソフトバンク甲斐野の5000万円を上回った。2年目の救援投手で球界最高額となった。(金額はすべて推定)

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広島球団では異例ともいえる大幅増に、新人守護神を勤め上げた栗林の表情も緩んだ。チームメートの森下を上回るだけでなく、他球団で1年目から結果を残してきたDeNA山崎康らも超え、2年目の救援投手では球界最高額での更改となった。

「しっかり評価していただきましたし、自分自身も1年間戦えた。こうやって終わることができたのは良かった。来シーズンも目標に向かってやっていきたい」

1年目から抑えとして53試合に登板し、0勝1敗、新人最多記録に並ぶ37セーブをマークした。防御率0・86で、セーブシチュエーションでの失敗は1度もなかった。「記録になることではないですけど、自分の役職としてはそこをしないといけない役職だと思っている」。タイトルや記録に表れない成績に胸を張った。

侍ジャパンでも抑えを任され、金メダル獲得に大きく貢献した。合宿中から同じようにプロ1年目から抑えを務めた山崎康との「守護神談議」もひとつの転機となった。「9回のピッチャーにしか味わえないやりがいもある。リーグ優勝、日本一、最後真ん中にいるのは抑え」。重圧や緊張感も力に変えた。

“失敗しない男”だからこその大幅増だった。セーブ数とともに無失点投球でプラス査定を上積み。一方でセーブシチュエーションでの失敗なしと、マイナス査定がほとんどなかったという。「セーブ数にこだわらず、セーブシチュエーションでしっかりと今シーズン同様、勝ちのまま終われるようにしたいです」。来季も“失敗しない男”を目指していく。【前原淳】

▽広島鈴木球団本部長 相手からしたら、栗林が出てきたら難しいというほどの存在感があった。防御率0点台というのは完璧な数字。先発と後ろで査定する部分は違うけれど、(森下と)どっちが良かったとかではなく、数字的にそうなった。