楽天浅村栄斗内野手(32)がチームを救った。1点を追う8回無死一塁で、カウント1ストライクから真ん中に入った143キロカットボールをかち上げた。打球を左中間席に突き刺す8号2ラン。チームの連敗を5で止めた。ダイヤモンドを回りながら、何度も雄たけびをあげ、ガッツポーズ。「相当後悔してます。キャラじゃないし。明日からはやらないですね」と笑うが、勝利への執念が自然と体に表れた。

今季は打率2割7厘と不調。この日の2ランまで、11打席で安打がなかった。4番として、結果が求められる立場。その責任感が重くのしかかるときもある。「つらいけど、つらいと言うのもおかしいと思う。それだけ評価してもらってここまでやってきているので、つらいという思いはあまり」。打った、打たないで一喜一憂はしない。どんな日でも、朝起きたら気持ちをリセット。毎日誰よりも早くグラウンドで打撃練習を始める。

この日から1軍へ配置転換となった今江打撃コーチが、さらに背中を押してくれた。何度も対戦し、ともに球宴にも出場した仲。練習中から会話を重ねた。打席に入る前にも「思い切っていけ」と声をかけられた。浅村は「自分でいろいろ考えすぎていて。どうしても探りながらスイングをしかけているのが今日もあった」と反省。シンプルに打球を上げることを考え、結果につなげた。

敗戦ムードの終盤に試合をひっくり返し、チームの流れをガラッと変えた。最高の1発となったが、余韻に浸るのはここまで。「また明日からしっかり」。浮上へ向けて、仕事に集中する。【湯本勝大】

▽楽天石井監督(浅村について) 苦しいと思いますよ。毎年成績を残してくる打者が、うまくいっていない打席があったりして。苦しいと思いますけど、彼の宿命というか、役割というか。立ち向かっていかないといけないので、しっかりとサポートしていければ。

▽楽天今江打撃コーチ(1軍へ配置転換初日を勝利で飾り、ウイニングボールを渡され) とにかく選手に気持ちを伝えて、選手が思いきっていけるようにガンガン声出していました。口カラカラです。今日ウイニングボールを絶対くれと藤平に言っていました。

▽楽天藤平(5回7安打3失点) 1個のアウトを取っていく中で、自分の中で予測していなかったようなこともあった。初回はもう少し踏ん張れていたらと思う。他を粘れたのは良かった。

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