広島森下暢仁投手が今季登板4試合目にして今季初星を手にした。先発の役割を終えてベンチで見守った7回、勝ち投手の権利を得る決勝点が生まれた。「粘り強く投げて良かったなという気持ちだった」。昨年10月の右肘クリーニング手術からの復帰が遅れたものの、勝利を手繰り寄せたのは、7回105球3安打無失点。らしさが詰まった投球だった。

立ち上がりは連打からピンチを招き、1死満塁とした。村上を三振に切るなど後続を退けると、持ち味である修正能力を発揮。「突っ込んでいた部分があったので修正した」。2回以降は球威、キレ、制球力を取り戻し、走者は単打による1人のみ。危なげなく7回まで投げ抜いた。

昨秋、侍ジャパン強化試合出場を辞退して手術を決断した。目標だったWBCを諦めたのは、今季にかける思いから。ただ、帰ってきたわけではない。昨季は数球投じる程度だったフォークを栗林らに聞きながら磨いてきた。持ち球のチェンジアップとは異なる変化で、日によってツーシームのように変化することもある。この日は後者。ブルペンで感じ取った捕手会沢のリードもあり、ツバメ打線の打ち損じを誘った。

今季初勝利も、登板全試合でクオリティースタート達成と安定感は抜群だ。新井監督は「彼が持っているものを考えると、もう1段階あると思うのですごく楽しみ」とさらなる進化に期待する。右腕も「こういう競った試合で勝てるような投球をしたい」と自覚は十分。もっともっと、強くなる。【前原淳】

▽広島西川(7回に決勝打を放ち、森下に初勝利を届ける)「もっと早く点を取ってあげれば、もっと楽に投げさせられたかなと思う。何とかこうやって勝ちを付けられて良かったです」

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