投打の役者が優勝を決めた! 王手を懸けた一戦で先発マウンドを託された菅野智之投手(34)が、8回6安打1失点で15勝目を挙げ4年ぶりの最多勝のタイトルをほぼ手中に収めた。主将で4番の岡本和真内野手(28)は6回に左中間を破る勝ち越し適時打を放ち、王、長嶋、阿部に並ぶ球団歴代2位となる今季21度目の勝利打点をマーク。大エースが抑えて、主砲が打つ-。最高の形で歓喜のセプテンバーをもたらした。
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みんなベンチで駆け寄ってきた。菅野が8回1失点。優勝の懸かった先発マウンドを貫禄の内容で119球を投げきり、勝ち=優勝の図式を成立させた。この大役の重みが分かっているからこそ、杉内投手チーフコーチも長野も敬意を表して握手を交わした。ベンチでの9回。歓喜の瞬間をジッと待ちわびた。
黒ずんだのれんをくぐると、油で滑る床にグッと足を踏ん張った。休みの日、ぶらっと1人で入る町中華が、なんだか居心地が良かった。「僕の町中華の定義は、2000円まででおなかいっぱいになる店」。1人でしっぽり飲むのが好きだった。脂っこい料理をビールで流し込むのがたまらなかった。「次の日、体調悪くなるから」と中華とサウナがセットだったが真夏のある日、「優勝までは飲まないって決めた」。自分との約束だった。
なんとなく始めた“願掛け”が、優勝が現実味を帯びてくるとやめられなかった。大阪遠征中、井上をつれて入ったステーキ店。隣を見ると、おじさんがおいしそうにワインを飲んでいた。「この肉とワイン、最高だろうな」。でも我慢した。「1杯も10杯も同じだってなっちゃうしね。つまんないんだよ、何か制限がないとさ。この年になってくると」。プロ12年目。10月に35歳を迎える年輪の分だけあえて楽しんだ。
「引退したら多分、毎日酒飲むと思うよ。だって、飲まない理由ないもん」。だから今やるべきことにまい進できる。ルーキーイヤーの13年9月22日以来の優勝マウンド。あの時とは、景色も心境もまるで違う。頂点もどん底も味わった12年間。昨季4勝から一転、15勝で4年ぶりの最多勝もほぼ手中に収めた復活劇。「うれしいという簡単な言葉では片付けられないくらい充実してます」。自分との約束から約2カ月、最高の美酒をのどに流し込んだ。【栗田成芳】
▽巨人吉川(二塁手として全試合スタメン出場し4安打で貢献)「今日決めたいというみんなの気持ちもありましたし、結果的にいい形で塁に出られたのでよかった」



