人生には不思議な巡り合わせがあり、プロ野球にも数奇な人間ドラマがある。ならば西武育成森脇亮介投手(33)が26年シーズンに支配下復活を果たすなら、それは6月30日か7月1日では-。日程発表時からかすかな予感があった。

あの日、23年7月10日。京セラドーム大阪でのソフトバンク戦で投げた。「鷹の祭典でしたかね。帰り、ホテルに向かうバスの中で、なんか手がずっと冷たくて。それこそ携帯も持ってられなくて」。北九州に移動しての12日の登板後、寒気と痛みに襲われ、脈さえ取れないほどに。

13日は博多のペイペイドームだった。鷹の祭典、変則3連戦。終わればいつものように帰京するはずだった。福岡土産はたいてい「めんべい、ですね」。めんべいどころでも、野球どころでもなくなり、まずは日常生活を取り戻すところから始まった。苦しみや激痛に大の大人が涙することさえあった。

痛みを知るからこそ、球団も彼が付けていた背番号28を空位のままにした。3年後、名を変えた「鷹祭」の開催初日、背番号28が復活した。「いつか必ずまた1軍で」。夢見たマウンドに戻るどころか、森脇が1軍に合流する地は偶然の奇跡か、誰かが用意したストーリーなのか。時計が動き出す。鷹祭は1日、東京ドームからペイペイドームへ舞台を移す。【金子真仁】