WBC開幕を前に、日刊スポーツがパドレス・ダルビッシュ有投手(36)とエンゼルス大谷翔平投手(28)の対談を実現!? いや、違う。米国で活動するモノマネ芸人アキ・テリヤキが一人二役で扮(ふん)する「ミニビッシュ」と「ミニタニ」だ。12年からダルビッシュのモノマネをしながら追い続け、21年からは大谷にもなりきって昨季はエンゼルスの全162試合を現地観戦する快挙も達成。WBC日本代表のモノマネ軍団「ちょいまねジャパン野球部」とは違う、侍モノマネ界の二刀流が、鼻息荒く思いを語った。【取材・構成=鎌田直秀】
◇ ◇ ◇
渡米した当初はメジャー観戦活動費の工面は大変だったが、日本帰国時のイベント営業や日米でのテレビ出演などで知名度が少しずつ上がり、現在はYouTubeを含めたSNS関連での収入で運用している。2人のおかげで全米に認知された感謝もある。
ミニビッシュ ドジャース移籍時は、ラジオ局に呼ばれた。見た目で勝負しているのに…。これ、やっていけるなあと自信にはなりました。昨年はパドレスがプレーオフに出て、地元で勝った時に球場を出た瞬間にお祭り騒ぎのファンの方たちに見つかった。「お~、ミニビッシュだ」と300人くらいの群集の真ん中で担がれた。今までで一番最高の瞬間だったんです。
ミニタニ 全162試合完走は「GAME1」「GAME2」とTikTokでカウントしていったんです。最初はSNSで「無理だよ」みたいな批判的なコメントもあったんですけれど、どんどん応援コメントが増えていった。自分だけでなくフォロワーと達成感を共有したかった。飛行機が遅れたらアウトですし、けっこう渋滞もある。めちゃくちゃおなかが痛くて国歌斉唱が始まっているのにトイレに行くとかはあったのですが、運良く遅れることはなくて。常にギリギリの状態だったので、最後は自然と涙がこぼれた。141試合目のクリーブランドのガーディアンズ戦も思い出が深いです。相手チームのマスコットが自分のところに寄ってきて、プラカード見せてくるんですよ。何? と思ってパッとみたら「WELCOME TO CLEVELAND GAME141」って書いてあったんです。タンパでも30人くらいの子供たちが集まって一緒にカウントしてくれたり。全米中に自分を待っていてくれる街があるんだと感動的でした。100年前に戻ってベーブ・ルース見られるなら、めちゃくちゃ見るじゃないですか。大谷選手は100年後も語り継がれると思う。この時代に生きた証しになる。
年間の移動距離は地球約2周の約8万3000キロ。得たものも大きかったが、移動と時差はやっぱり過酷だった。
ミニタニ エンゼルスの本拠地アナハイムの球場がある西海岸から東海岸に行くのは大変。4時、5時の早朝の便に乗っても飛行機で5時間くらいかかって時差も3時間あるので、夕方に着くんです。WBCでも侍ジャパンの移動はそうとうヤバイですよ。日本での準々決勝(3月16日)からフロリダでの準決勝(日本時間21日)まで中4日しかない。1日は移動で、時差も13時間ある。そこもカギを握りそうです。
ダルビッシュ以外のメジャー選手は1次ラウンド直前の合流の予定だ。その中の気になる1人にヌートバー外野手の名前を挙げた。
ミニビッシュ まだデビュー3年目。これまで注目することはなかった。代表に選ばれてから彼の情報が入ってきたと思うのですが、僕もその1人。学生時代もアメリカンフットボールプレーヤーと野球選手の二刀流。なおかつフットボールではシーズンMVPをとるくらいの身体能力もある。ポテンシャルは高い。日本人の性格にはあまりない陽気なところ、持って生まれた明るさがあるので、チームのムードメーカーに。プレーでもベンチでもキーマンになってくれると思っています。
ミニタニ 米国もWBCに過去イチで注目している。エンゼルスのトラウト選手が早い段階で参加表明して、なおかつ米国代表としてチームを引っ張ると公言したおかげもある。本当にオールスターとはまた違った意味でのスターが集まっているんですね。オールスターはナ・リーグ、ア・リーグの2チームに分かれているけれど、その垣根も越えた本当に全米オールスター。決勝のチケットはすでに完売。実は、僕は日本が優勝した09年のWBC決勝をドジャースタジアムで見ているんです。米国に今までにないくらいに盛り上がる空気感があります。
06年に渡米を決断したきっかけの1つは、メジャーで野茂英雄氏(現パドレス・アドバイザー)が活躍する姿だ。自身は高校時代に日本テレビ系「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」の企画「お笑い甲子園」で関東代表となり、芸人の道を志した。ダルビッシュ、大谷との出会いで今がある。その2人とともに世界を夢見る中で、次の夢も明かした。
ミニビッシュ モノマネを通じて米国文化を学び、人生の楽しみ方が増えた。2人のおかげ。ダルビッシュ選手が自分の経験、知識、技術を日本球界の後輩たちに残すと明言している通り、自分もこれから世界に行く人たちのパイプ役になれたらいい。
ミニタニ お面1つかぶって喜んでもらえる。ダルビッシュ選手や大谷選手みたいになれっていったらハードルが高すぎるけれど、ささいなことで米国ってウエルカムになって、受け入れてくれる国。僕以上にいろいろなきっかけをつくって、世界で活躍する日本人が増えていったらいいなと思います。
◆アキ・テリヤキ。茨城県出身。米ロサンゼルス在住。モノマネ芸人&ユーチューバーとして活動し、ダルビッシュ有の「ミニビッシュ」、大谷翔平の「ミニタニ」のほか、DA PUMPのISSAのモノマネ「ChiSSA(ちっさっ)」も有名。日米のテレビ出演多数。昨季は日本のテレビ局でエンゼルス大谷の現地リポーターとしても活動。身長159センチ、体重54キロ。靴のサイズ25・5センチ。




