ボクシング元世界ヘビー級王者マイク・タイソン(54=米国)が15年ぶりにリング復帰したファイトが、元世界王者たちを「興奮」させている。28日(日本時間29日)に米ロサンゼルスで元世界4階級制覇王者ロイ・ジョーンズJr.(51=ともに米国)とエキシビション8回戦で拳を交えた。試合は引き分けながら、スピード感十分のパンチ、1回2分とはいえ、最終8回までスタミナが落ちなかった勇姿は評判が良かった。

USAトゥデーによると、元世界ヘビー級王者ジョージ・フォアマン氏(71=米国)は「自分が見た試合を信じることができなかった。タイソンが今のように調子を整え、試合感覚を取り戻し、すべてのことがうまくいけば、世界挑戦のチャンスがあるのでは。いずれ適切な世界王者がやってくるのではないか」と解説。自身が45歳で世界王座を獲得した経緯もあり「タイソンが54歳、55歳で再び世界王者の候補に並ぶのでは」とも強調した。

英メディアのBTスポーツによると、02年にタイソンに8回KO勝利した元3団体統一ヘビー級王者レノックス・ルイス氏(55=英国)は「タイソンは人々を楽しませる方法を知っている。あのエキシビションで何をすべきか知っていた。それが正しいことなら、私はリングに戻ってくるかもしれない」と発言。現役時代のライバル、元3団体統一同級王者リディック・ボウ氏(53=米国)の名を挙げ「ボウが私との戦いを望んでいるという話があったので、そこには、まだいくつかの未完成のビジネスがある」とリング復帰さえも示唆した。

英紙ザ・サンでは、早くもタイソンの次期対戦相手を予想した。

<1>タイソンが「これをもう1度やらなければならない」と希望したジョーンズJr.との再戦

<2>現役時代に2度対戦し、リング復帰に意欲的な元3団体統一同級王者イベンダー・ホリフィールド氏(58)との「3度目」対決

<3>リング復帰を示唆したレノックス・ルイス氏

<4>当初タイソンの相手として浮上した元WBO世界同級王者シャノン・ブリックス氏(48)

<5>現3団体統一同級王者アンソニー・ジョシュア(31)か現WBC世界同級王者タイソン・フューリー(32=ともに英国)と5パターンを挙げるほどの「熱さ」だ。

レイプ事件で逮捕、ホリフィールドの耳かみ、アルコール依存症、麻薬使用など破天荒なボクサーなのは間違いない。それでも15年ぶりというリングでのエキシビション戦で、これほど世界のボクシング関係者、ファンを興奮させる力は、本当に天性のものだろう。このまま54歳のタイソンがエキシビションを続ければ「シニアファイト」というジャンルを世界に根づかせるのではないかと感じる。【藤中栄二】(ニッカンスポーツ・コム/バトルコラム「リングにかける男たち」)

WBCの記念ベルトを手にポーズを決めるマイク・タイソンとロイ・ジョーンズ・ジュニア(USA TODAY=ロイター)
WBCの記念ベルトを手にポーズを決めるマイク・タイソンとロイ・ジョーンズ・ジュニア(USA TODAY=ロイター)