快進撃を続ける照ノ富士には、何かがついているのかもしれない。

 伊勢ケ浜部屋の稽古場は、大阪市内の公園内にある。稽古後は全員でそんきょ姿勢を作り、公園の守り神として地蔵が設置している東方向を向いて、勝利祈願を込めて黙とうを行う。だが照ノ富士だけは南西を向く。本人は理由を口にしないが「土俵祭りが終わると神様がいるから」と、ある関取。土俵祭りは会場の本土俵で行われる、安全と興行の成功を祈念する行事。その縁起にあやかり、土俵祭りが行われた11日から会場方向を向いて黙とうをしている。

 そして自身4度目のかど番から自己最速の9日目に脱出。1敗を守り、15年夏場所以来2度目の優勝も狙える快進撃。それにあやかろうと、その他の力士も今では南西を向いて黙とうを行っている。

 昨年初場所を途中休場の原因となった左膝半月板損傷の手術から1年。ケガに苦しんだが、復活の兆しが見えてきた。本人の血のにじむ努力はもちろんだが、加えて不思議な力が後押ししているのかもしれない。【佐々木隆史】