4月27日に大相撲夏場所(24日初日、東京・両国国技館)の新番付が発表され、20歳の若武者、琴勝峰(20=佐渡ケ嶽)が新入幕昇進を決めた。3月の春場所では12勝3敗で初の十両優勝を果たし、所要3場所で十両を通過した。191センチ、165キロの恵まれた体格にスケールの大きい相撲内容。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)の長男でもある幕内の琴ノ若(22=佐渡ケ嶽)とともに部屋の成長株として注目を集める存在で、そのポテンシャルは同部屋の大関経験者、琴奨菊が「琴勝峰の力強さ、琴ノ若の柔らかさが欲しい」とうらやましがるほど。若い2人が名門部屋に新たな刺激を与えている。

埼玉栄高の2学年先輩でもある琴ノ若は、新入幕だった春場所で見事に勝ち越しを決めた。兄弟子の背中を追いかける琴勝峰は「すごく刺激になっている。どんどん先に進んでいくので、必死に追いかけたい」と、モチベーションを高めている。

琴勝峰にとって、琴ノ若は相撲を始めた頃から縁のある存在だった。幼少時代、2人はともに柏市の相撲少年団に所属。少年団に入り立ての琴勝峰に初めて“指導”した先輩が、当時小1の琴ノ若だったと琴勝峰の父、手計学さんが証言する。ある日の稽古後、まだ礼儀作法を知らない琴勝峰少年は、少年団の先輩に先んじて更衣室に戻ろうとした。「それで『お前がいちばん後輩なんだから、お前がいちばん最後に更衣室に入れ』と言ったのが、琴ノ若でした」。稽古のカテゴリーは幼稚園児と小学生などで分かれていたが、別のグループだった琴ノ若は目を光らせていたという。「僕も『すごいな、ここから先輩後輩があるんだ』と思って、感心して見ていた。そのときは鎌谷くん(琴ノ若の本名)が佐渡ケ嶽親方の子どもとは知らなくて、あの子すごいなと思っていた」と学さん。琴勝峰にとって、当時から琴ノ若の存在感は抜群だった。

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催が危ぶまれている夏場所は琴ノ若にとって幕内2場所目、琴勝峰にとっては晴れの新入幕場所。縁のある2人が、旋風を巻き起こせるか。【佐藤礼征】

大相撲初場所 6日目 塵手水する琴ノ若=2020年1月17日
大相撲初場所 6日目 塵手水する琴ノ若=2020年1月17日