WBO世界スーパーウエルター級3位井上岳志(29=ワールド)の世界初挑戦は失敗に終わった。

同級王者ハイメ・ムンギア(22=メキシコ)に接近戦を挑むも決定打を奪えず。確実にポイントを奪われて、0-3で判定負けを喫した。採点は2人が108-120に109-119と大差。米国で同級王座を奪取すれば三原正以来38年ぶりとなる快挙はならなかった。

初回から作戦を遂行した。馬力を生かして押し込み、素早く変則なパンチを打ち込み、スタミナを削っていく。「ヒット&ジョロウグモ作戦」。いきなりオーバーハンドで右のロングフックを打ち込んだ。スター候補といわれる王者にまったくひけはとらなかった。

ムンギアは予想通りに足を使いながら、ジャブで距離をとってきた。ワンツーに左ボディーで、先に手を出して手数で優勢も、井上のプレスに爆発力は欠いた。井上はタフさを発揮して前に出続け、8回には疲れを見せた王者に連打を見舞う。ムンギア一色の場内もざわついた。

井上は動きを止めずに前に出たが、10回終盤に左フックからの連打にふらついた。最終12回まで接近戦のスタイルを貫き、判定にまで持ち込んだが及ばず。ジャッジ2人がフルマークの大差がついたが、王者を苦しめた。

中3の時にケンカを売られてボクシングに目覚めた。転校生から休み時間にトイレへ呼び出された。顔面はなしで腹を殴り合った。「アドレナリンが噴き出し、高揚感を感じた」。サッカーのDFだったが、すぐにボクシングで世界王者を夢見た。その夢の初挑戦で採点は差がついたが、最後まで井上のケンカファイトを貫き、気持ちでは負けていなかった。

セミのWBA世界フェザー級タイトルマッチは、同級2位ツァン・シュー(24=中国)が3-0の判定勝ち。世界初挑戦で中国人3人目の世界王者になった。王者ヘスス・ロハス(32=プエルトリコ)は初防衛に失敗した。