ボクシング前日本フライ級王者黒田雅之(32=川崎新田)が、3度目の世界挑戦を目指して現役を続行する。7日に川崎市内のジムで表明した。

昨年5月に6年ぶりで、IBF世界同級王者モルティ・ムザラネ(南アフリカ)に世界再挑戦も判定負けしたが、進退を保留していた。3月30日に東京・後楽園ホールで、10カ月ぶりの再起戦に臨む。

黒田は「シンプルにやりたいからやる。やるからには世界を目指さないと熱が入らない」と復帰理由を説明した。「一から説明していると明日の夜になっちゃう。小さいことの積み重ねがあった」と話した。

昨年11月に何度もスパーリングした井上尚弥(大橋)が、WBSS(ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ)に優勝した。12月には後輩達の試合を観戦したが「まだファン目線にはなれなかった。心に引っ掛かるものがあった」という。

ムザラネは黒田戦以来のV3戦で、八重樫東(大橋)を9回TKOで防衛した。「年上の2人。自分も体力の衰えは感じないし、もったいないと思った」。

新田会長にはジム恒例の元旦ロードワークの前に、復帰の意思を伝えた。会長は口に出さずにずっと見守っていた。「おせーよ。やっとかと。41戦してケガもなく、体は痛んでないし、衰えもない。もったいなし、伸びしろもある」と待ちかねていた。

会見後には世界戦前以来7カ月ぶりに、スパーを2回こなした。ジムワークでは最近始めたというハンマーの振り下ろし。1度タップダンスを体験したが「着地の感覚がボクシングに通じる」と続ける考えだ。

休んでいる間に運転免許を取得した。ジムで体を動かしていたが、後輩らの練習でミットを持った。川崎市のデイサービスで、トレーニングを指導するインターンシップも経験。仕事してのトレーナーも始める。高校時代からコンビニでバイトしながら、リングに上がってきた。三度目の正直へ、練習に生活に変化と刺激を加えていくつもりだ。

IBFでは11位につけるが「誰でもいい、どっちの階級でもいい。世界王者とやってベルトをとりたい」。世界挑戦はスーパーフライ級、海外も視野に入れていく。