新日本プロレスは3月6日に旗揚げ50周年を迎える。

「プロレス」の味を多くの人に届けたい-。団体トップのベルト、IWGP世界ヘビー級王座を保持する、オカダ・カズチカ(34)の50周年にかける思いはシンプルだ。「とりあえずテイスティングしてほしい。新日本プロレスの『オカダ・カズチカ』というワインに、口をつけてもらうだけでいいんです」。

07年8月に入門し、翌年4月にデビュー。11年12月にレインメーカーとして凱旋(がいせん)帰国し、昨年末で丸10年を迎えた。節目の年に2年ぶりに顔に返り咲いた「カネの雨を降らせる男」には、自身のファイトが多くの人々の心を揺さぶるという確信がある。

新日本で最も思い出深い出来事を「僕がここにいるということ」と即答。団体と自身の歩みを重ね「それくらいやってきたことに自信がありますし、自負がある。僕が一番のエピソードです」と言い切る。

もちろん、歴史には敬意を払う。「1人だけで50周年はこない」。今年のコスチュームのデザインは往年のレスラーが身にまとった着物風。一見、和柄に見える模様は、文字としてびっしりと刻まれた戦いの歴史だ。アントニオ猪木から棚橋弘至まで、屋台骨を支えたスター選手の名前を次々と列挙し「そして僕。歴史がつながっていっている」と、自覚を口にする。創設者の猪木氏に会ったのは今まで3度だけ。直接の接点をもたない新王者だが、「芯にあるのはストロングスタイル」と闘魂の精神を継承する。

プロレスの醍醐味(だいごみ)は、過去と現在の交錯。興味を持ってもらった次は、さまざまな「ワイン」を飲み比べてみて欲しいという。「今の僕を見て気になった方は、08年からの『岡田かずちか』を飲んでみてもおもしろい。『この頃はしょっぱいね』って楽しんでもらえれば」。新日本プロレスが生み出した、50年分のワイン。オカダが、さらなる味わいを加えていく。【勝部晃多】

◆オカダ・カズチカ 1987年(昭62)11月8日、愛知県安城市生まれ。中学卒業後に闘竜門に入門し04年8月、16歳の時にメキシコでデビュー。07年8月に新日本入り。12年にIWGPヘビー級王座を初戴冠。同年、初出場のG1クライマックスで史上最年少優勝。21年秋に7年ぶり3度目のG1制覇を果たした。22年1月に鷹木を破り、IWGP世界ヘビー級王座を初戴冠。得意技はレインメーカー。191センチ、107キロ。妻は声優の三森すずこ。