日本選手初の父娘チャンプへ。ボクシングの前WBC世界ライトフライ級王者矢吹(本名・佐藤)正道の長女、夢月(ゆづき)さん(12)が、9月4日に後楽園ホールで行われる「ジュニアチャンピオンズリーグ全国大会」に出場する。

夢月さんはU-12女子35キロ級の中日本代表。各地区の代表が争う決勝大会で頂点を目指す娘と父が24日、電話取材で意気込みを語った。

夢月さんは小学1年から空手を始め、3年時にボクシングに“転向”した。「最初は走るとかつらくて練習がイヤだった」と言うが、「考えながらやって、うまくいくことがだんだん楽しくなった」。父の矢吹も「教えたことがすぐにできる吸収力がある。娘だからというわけではなく、(ボクシングの)適性は高いと思いますよ」と評価する。

試合経験は今回が初めてだが中日本地区を勝ち抜き、日本一を争う全国大会に駒を進めた。身長147センチのオーソドックスで、武器は父譲りの「左ボディー」という。タイミングのいいカウンターも天性の才。聖地・後楽園ホールでの戦いに「チャンピオンになりたい」と意気込む。

現在は週4日、自宅で矢吹を相手に練習し、2日を緑ジムに通う日々という。来春から中学生だが、部活動は考えず「ボクシングをやりたい」と打ち込む覚悟。矢吹も「何か目標を持った10代を過ごさせたい」と娘のやりたいことを温かく見守っていく意向だ。

将来の夢には「五輪」が膨らんできた。昨年の東京五輪で金メダルを獲得した入江聖奈(日体大)の活躍に刺激を受けた。「金メダルがほしいと思いました」。今回の大会は、夢に向かう第1歩にもなる。

矢吹は9月10日に三重・四日市市での再起戦を控えるため当日、会場には行けない。「弟に行ってもらおうと思う」と東洋太平洋スーパーフェザー級王者の力石政法を強力助っ人として送り込む。「自分が優勝してパパにいい流れを作りたいです」。かわいいエールを受けた矢吹は「自分の試合ぐらい緊張する」と武者震いした。【実藤健一】

 

◆ボクシング・ジュニアチャンピオンズリーグ全国大会 日本プロボクシング協会(JPBA)、日本ボクシングコミッション(JBC)主催で将来プロを目指す若年層を対象にしたボクシング大会。18年に第1回が行われ、今回は新型コロナウイルスの影響で3年ぶりに開催される。前身の全国U-15ジュニアボクシング大会からは井上尚弥、田中恒成、中谷潤人、井上拓真の世界王者を輩出。現在の大会は男女各U-18、U-15、U-12、U-9の年齢別に体重制限で階級を分けた各カテゴリーで実施。東日本、中日本、西日本、西部日本の各地区代表が優勝を争う。