終幕は突然だった。11回開始直後にドクターチェックが要請された。

寺地拳四朗のジャブを浴び続け、ロサレスは試合中盤から鼻周辺が血まみれとなっていた。ドクターの見解は「鼻骨骨折の恐れ」で、レフェリーは試合を止めた。11回6秒TKOで2階級制覇を遂げた。

「練習通り、自分のボクシングを突き通せた。今はとりあえずホッとしている。過去のスタイルを練習してきて実現できたと思っている」。距離をとり、ジャブを突きまくってリスクを避けた。完璧なアウトボクシングでロサレスに何もチャンスを与えなかった。

「今回はめっちゃ緊張した。入場から記憶がないくらい。その中で自分的には冷静に戦えたと思う」

今年1月にカニサレスと判定2-0辛勝の激闘を終えた後、右拳を手術した。手術後はそのあとがわかるほど突き出した状態。テーピングにも工夫しながら、練習を重ねた。その中で乗り越えた階級の壁だった。

構えのスタンスを広くとり、鋭い出し入れで的確にジャブをヒットさせた。参考にしたのが今年のパリ五輪、フェンシングエペ個人で金メダルを獲得した加納虹輝(26)だった。「加納ジェット」と称される鋭い踏み込みを動画で何度も再生した。金メダリストから得た踏み込みで、ロサレスの鼻をへし折った。

今後、ライトフライ級でなしえなかったベルト統一が目標になる。その標的として最上位に上がるのが、昨年に寺地が試合後に涙したほどの激闘を演じたWBO同級王者アンソニー・オラスクアガ(米国)。「期待されるのは統一戦。明日(14日)に試合ありますが、それを期待してください」。フライ級戦線を引っ張っていく決意を表明した。【実藤健一】

◆寺地拳四朗(てらじ・けんしろう) 1992年(平4)1月6日生まれ、京都・城陽市出身。奈良朱雀高→関西大。アマ戦績は58勝(20KO・RSC)16敗。14年8月にプロデビュー。15年12月に日本ライトフライ級王者、16年8月に東洋太平洋同級王座を獲得。17年5月にWBC世界同級王座を獲得し8連続防衛。21年9月、矢吹を相手に初黒星で王座陥落も22年3月の再戦でリベンジ。同年11月、WBAスーパー王者京口との統一戦を制し、2団体王者となる。プロ戦績は24勝(15KO)1敗。身長164センチの右ボクサーファイター。「拳四朗」は人気マンガ「北斗の拳」の主人公からで、入場曲もアニメの主題歌だが、本人は「読んだことはないです」。

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