西十両12枚目の御嶽海(22=出羽海)が無傷の8連勝で勝ち越しを決めた。西十両8枚目の千代皇(24)を寄り切り。新十両のストレートでの勝ち越しは、1場所15日制となった49年夏場所以降5人目の快挙となった。

 新しい力が止まらない。初日から並んだ8つの白星は、いずれも年上が相手。まだ、まげも結えないざんばら髪の22歳が、無傷で勝ち越しを決めた。1場所15日制66年の歴史の中で、史上5人目の新十両のストレート給金。御嶽海は「知らなかった。うれしいっちゃ、うれしいです。(8連勝は)予想外です」と初々しく喜んだ。

 千代皇戦。勝負の一番は左への変化で上手を握って決めた。実は幕下だった夏場所も、給金相撲で左に動いていた。「やっぱり勝ちたいという気持ちが勝っちゃう」と弁解し、反省したが、若者なりの考えもあった。「中日でも体が素早く動けるか、確かめるために動いてみようと思った」。初めての15日間。答えは十分だった。「今日は動いてくれたので、明日からまた自分の相撲を取ろうと思います」。1番限りの大胆さ。若さゆえの強さだった。

 小1から始めた相撲。素早い動き、粘り強い下半身は、自然の中で鍛えられた。長野・上松町の実家近くには山と川。「オヤジとキノコやタラの芽を採りに山に入ったり、川で泳いだり。アユやイワナ、ヤマメが釣れて塩焼きにするとおいしい。頭も全部食える。捨てるところがないんです」。自然が遊び場。たくましく、わんぱくに育った。その心も、土俵に出ている。

 過去の4人は全員十両優勝した。14勝以上で、遠藤と並ぶ史上最速の所要3場所での新入幕の可能性も見える。「優勝できる自信は全くない」と言いつつ「あとは自分の相撲を取って、どこまで星を伸ばせるか」とも。この男、まだまだ底が見えない。【今村健人】

<御嶽海久司(みたけうみ・ひさし)アラカルト>

 ◆本名 大道久司。1992年(平4)12月25日、長野県上松町生まれ。木曽青峰高-東洋大。179センチ、149キロ。血液型O。家族は父春男さん(66)とフィリピン出身の母マルガリータさん(45)。

 ◆きっかけ 運動神経に自信があった小1のとき、長野・木曽町で開かれた大会で初めて相撲に挑戦するも、体が小さい子に負け。悔しさで、のめり込む。

 ◆プロ入り 東洋大4年時にアマチュア横綱と学生横綱の2冠。当初は和歌山県庁への就職を考えていたが、プロ入りに傾く。反対だった両親を説得して、クリスマスイブ直前に決断。

 ◆長野 長野県出身の関取は元幕内大鷲以来、47年ぶり。地元では「木曽の星」として大フィーバー中。

 ◆夏バテ対策 水を温かくして飲用。冷房は24度。タイマーで起床2時間前に消し「起きたら汗をかく程度に」。母の教えで中学からバナナを1日1本食す。

 ◆好き 力士では武双山。食べ物は特に魚、刺し身。愛知入り後、この日までにひつまぶしを4度食べた。お酒はたしなむ程度。