右肘のケガによる2場所連続休場からの復活を目指す横綱日馬富士(31=伊勢ケ浜)が3日、最初の出稽古で振り回された。九州入り後、初めて出稽古を敢行したが、当初行く予定だった大関稀勢の里(29)からキャンセルの連絡。慌てて方向転換し、部屋の幕内誉富士(30)らが出向いていた尾車部屋に行った。思わぬ時間のロスに、狙った稽古もできず、残念顔だった。

 その連絡は車中で入った。早朝8時ごろ、日馬富士は宿舎がある太宰府天満宮を出発していた。ほかの関取衆とは別に1人、9・5キロ離れた福岡県志免町の田子ノ浦部屋へ向かった。目当ては稀勢の里。稽古場でも全力で挑んでくる大関との相撲で、休場明けの場所に挑む自身の現状が分かる。大事な出稽古になるはずだった。だが、それはキャンセルの電話だった。

 疲労で、稀勢の里が稽古を休むことになったという知らせ。了承を得ていた前日から一転、行き先を失った。引き返しても、部屋にはケガを抱える大関照ノ富士しかいない。慌てて方向転換。誉富士、宝富士が訪れている福岡県春日市の尾車部屋に向かった。それもまた10キロ近い移動。思わぬ時間のロスに遭った。

 尾車部屋では小結嘉風や幕内豪風、十両天風と計23番取って22勝。相手の重さを受けて、右手でまわしを取るなど、肘の状態を確かめた。ただ、天風には「声を出すな! ヒーヒー言って力が出るわけないだろ」と諭し、嘉風には「もうちょっと気合入れて来てよ」と物足りなさを示した。自身の現状を把握するには不満足。思惑もロスした。

 振り回されてしまった最初の出稽古。とはいえ、体の張りは戻ってきた。13年九州を最後に、優勝から2年間も遠ざかるが「ケガもだいぶ治って、順調に来ている。少しずつ感覚は戻っている。結果は後からついてくる。自分のやるべきことを一生懸命やる」。そう誓い、11キロ離れた宿舎にまた、戻った。【今村健人】