今年、最も多くの決まり手で土俵を沸かせたのは、竜電(30=高田川)だ。その数「14」で、御嶽海、遠藤ら巧者を抑えて初の「彩多賞」に輝いた。普段から、あまり多くは語らない竜電だが「え!? 僕ですか? まさか。意外すぎます」と驚きを隠せなかった。
居反りなどの反り手こそなかったが、掛け手やひねり手など多彩な技を出した。しかし、本人は「決まり手を意識したことはない。とりあえず力いっぱいに相撲を取ることしか考えていない。その結果だと思う」と自己分析。これだけ多くの決まり手を出したが基本を大切にする。「自分的には寄り切りと押し出しが多ければ多いほどいい。稽古場で意識するのもその2つ。基本に限る」と話す。
記憶にあるのは12年九州場所。新十両場所で右股関節を負傷して途中休場すると、ケガとの闘いが長引き、序ノ口まで番付を落とした。「一番やっていけないのはケガすること。寄り切りや押し出しに徹すればケガも減る」と苦い経験を今に生かしている。
「しっかり前に出ることを意識してきたから、多くの決まり手につながったのかもしれません」。基本を大切にしてきたからこそ、多彩な技が誕生した。【佐々木隆史】

