土屋アンナの舞台降板をめぐる裁判を提訴から2年5カ月取材したが、土屋の全面勝訴という判決は、予想ができた。出版社の持ち込み企画なのに途中から出版社が手を引き、まともな公演をやろうとするなら最低限必要な稽古日数もとらず、初日2週間前に照明などのスタッフが決まらないという状況は、演劇界の「常識」から逸脱していたからだ。

 そして、担当する裁判長が昨年中に代わったことも大きかった。新しい原克也裁判長は、芸能界が絡んだ、この種の裁判で「出演者」寄りの判決を出す傾向にあったからだ。

 原裁判長が担当した最近の裁判で話題だったのは、アイドルグループのメンバーだった女性(23)がマネジメント会社から損害賠償を求められた訴訟。女性と会社の間に「ファンとの交際を禁じる」規約があり、それに違反したとして、女性と交際相手に約990万円の損害賠償を求めた。1月に判決を言い渡した原裁判長は「異性との交際は幸福を追求する自由の1つで、アイドルの特殊性を考慮しても禁止は行き過ぎだ」と請求を棄却した。

 アダルトビデオ出演を拒否した女性に、プロダクションが契約違反として2460万円の違約金の支払いを求めた訴訟の判決でも、原裁判長は「AV出演は、出演者の意に反して、従事させることが許されない性質のもの」とし、出演者が明確に拒否すれば、契約は解除されると判断。プロダクション側が敗訴した。

 土屋を訴えた甲斐智陽氏は2月初めにも控訴するという。今回の判決の覆すような新事実を提出する可能性は低いだけにイバラの道となりそうだ。【林尚之】