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「アゲアゲさん」折田アマ大一番へファンの思い背に

ネット上では「アゲアゲさん」と呼ばれ、「将棋ユーチューバー」として活躍する将棋のアマチュア強豪、折田翔吾アマ(30)が、夢をかなえるための人生の大一番に臨みます。

プロ入りをかけた大一番に臨む折田翔吾アマ(撮影・松浦隆司)
プロ入りをかけた大一番に臨む折田翔吾アマ(撮影・松浦隆司)

プロ入りをめざす棋士編入試験の5番勝負第4局が25日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われます。「試験官」にあたる四段のプロ棋士相手に3勝すれば、合格。ここまで2勝1敗の折田アマの第4局の相手は、本田奎(けい)五段(22)。現在、8大タイトル戦の1つ、棋王戦に挑戦中の新鋭です。とてつもない強敵が待ち受けます。

大阪府出身の折田アマは棋士養成機関「奨励会」の最上位の三段まで昇りながらも、26歳の年齢制限に阻まれ、退会しました。プロ棋士への道を断たれたときの心境について「1つの人生が終わった。死んだという感覚に近かった」と振り返ります。おそらく、その感覚は経験した者にしか分からないほど壮絶なものでしょう。

挫折を味わった折田アマですが、退会後はインターネットを使い、オンラインでアマチュアに将棋を指導したり、ユーチューブに将棋の動画を投稿。棋譜などの実況・解説する「アゲアゲさん」として、人気の「将棋ユーチューバー」になりました。

昨年8月30日に行われた公式戦の対局でプロ棋士に勝ち、プロ棋士相手の直近の公式戦成績を10勝2敗とし、プロ編入試験を受けるのに必要な「最近の公式戦で10勝以上、かつ勝率6割5分以上」の条件を満たしました。夢をかなえるためのチャンスをつかみ、プロ入りまであと1勝のところまでたどり着きました。

「あと1勝。大きな勝負になるが、次も楽しんで臨みたい」

折田アマは本田五段と三段リーグで過去2度対戦し、1勝1敗。ただ、当時とは状況も立場も違います。

本田五段は昨年12月、第45期棋王戦の挑戦者決定戦を制し、渡辺明棋王(35)への挑戦権を獲得しました。タイトル戦出場時のプロ入りから1年4カ月は史上2番目のスピード記録となりました。日本将棋連盟によると、プロ入りして間もない新人棋士が参加した棋戦の1期目で挑戦者まで勝ち進んだのは初めて。規定により、12月27日付で五段に昇段しました。

2月16日に行われた棋王戦5番勝負第2局では、8連覇を狙う渡辺明棋王(35)に勝利し、対戦成績を1勝1敗のタイにし、勢い乗っています。現行の棋士編入試験では、本来なら「試験官」は「四段」のはずですが、異例の「五段」との対戦となります。

相手は強敵ですが、奨励会時代とは違い、折田アマの挑戦には心強い応援があります。

今回の編入試験の受験料(50万円)をクラウドファンディングで募りました。「たくさんの人の応援を力に変えたほうがいい」。折田アマと同様に挫折を味わいながらも、14年に合格した今泉健司四段(46)から助言を受け、呼びかけました。

約1カ月で約500人から計519万が集まりました。ファンからのメッセージは心に残っています。「自分も人生で挫折を経験しました。折田さんがあきらめずにやっている姿に勇気をもらいました」。

1人ではない-。将棋への思いをかみしめながら、大一番に挑みます。【松浦隆司】(ニッカンスポーツ・コム/コラム「ナニワのベテラン走る~ミナミヘキタヘ」)

 ◆村上久美子(むらかみ・くみこ) 大阪(泉州)生まれ。91年入社。関西の芸能社会を中心に取材。吉本興業、宝塚歌劇、短期間ながら阪神タイガースと、関西発の3大ホットコーナーをはじめ、NMB48まで、取材歴は20年以上。

 ◆松浦隆司(まつうら・たかし) 大阪生まれ。92年入社。関西を中心にスポーツ紙の社会面担当としてエロから政治まで、ダークサイドも含め取材歴は20年以上。和歌山毒物カレー事件、橋下徹前大阪市長は茶髪弁護士時代から取材。

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