1991年のアニメ映画「機動戦士ガンダムF91」の主役シーブック・アノー役などで知られる声優、ナレーターの辻谷耕史(つじたに・こうじ、本名やすふみ)さんが17日、脳梗塞のため都内で亡くなったことが23日、分かった。56歳だった。

複数の関係者によると、辻谷さんは14日に都内で声優の立木文彦と組んだバンド「立木文彦とBLUSEED」結成記念ライブを行うなど元気だったが、17日に自宅で突然倒れ、そのまま同日に急逝したという。葬儀は妻で声優の渡辺久美子ら親族と近親者のみの密葬で行われ、21日に通夜、22日に葬儀・告別式が営まれたという。

辻谷さんは1962年(昭37)4月26日に東京・小平市で生まれ、我孫子高から舞台芸術学院に進み、83年に劇団東演に入団。我孫子高の同級生には、元阪神タイガースの和田豊氏がいた。俳優業を続ける中、1988年(昭63)にアニメの声優を始め、89年「ガンダム0080」のバーナード・ワイズマン役、93年「無責任艦長タイラー」の主人公ジャスティ・ウエキ・タイラー少佐役、00年「犬夜叉」の弥勒役など、人気作品の中心的な役を数多く演じた。「グラン・ブルー完全版」のジャック・マイヨール役など洋画の吹き替えや、TBS系「スーパーサッカー」などナレーション業も多数、務めた。

近年は、音響監督としても活躍しており、落合博満氏の長男で声優の落合福嗣が主演するアニメ「グラゼニ」では、音響監督を務めるなど演出、プロデュース業に軸足を置き、精力的に活動していた中での、早すぎる死だった。