テレビの音楽番組で注目された道産子が、プロ歌手としてスタートを切った。白樺学園の元球児、大場悠平(22)は6月3日にチャリティーソングを緊急リリース。コロナ禍のなかでも音楽ファンに歌声と元気を届ける。

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4月にデビューした大場は、等身大の言葉で思いを届ける。「大変なこともあるけれど、死ぬわけじゃない。生きていればなんとかなる」。今月3日に500枚限定で発売したセカンドシングル「オーライ」の売り上げは、全額をコロナ禍にある帯広市の老舗ライブハウス「スタジオレスト」に寄付する。ミュージックビデオも同所で撮影。生まれ育った故郷へ恩返しするロック調の応援ソングだ。

幼少期から打ち込んだ野球では地元の強豪白樺学園でプレー。高校3年間ベンチ入りはできなかったが、かけがえのない友人と出会った。「いつも思い出す。(デビュー)CDを出したときも家に持って行った」。高2の秋に同学年の渡部洸稀さん(享年17)が事故死。同じ自宅生で部室のロッカーも隣だった。「あいつの分も頑張らないと」。高校卒業後に出演した17年NHKのど自慢大会でグランドチャンピオンに輝き、昨年末には勤めていた会社を辞めて音楽の世界で生きる覚悟を決めた。

母校の後輩はセンバツに続き、夏も甲子園への夢が閉ざされた。「しんどいだろうけど、そういった経験もいつかは報われる」。なぞらえるのは今も消えない友を失った悲しみ。大場は「色々な人に知ってもらいたい」とステージに立ち続ける。