来年4月11日に退団が決まった宝塚歌劇団の雪組トップ望海風斗(のぞみ・ふうと)が11日、兵庫・宝塚大劇場で、プレ退団公演となるコンサート「NOW ZOOM ME!!」の初日を迎えた。宝塚は19日まで。東京宝塚劇場は9月26日~10月3日。

当初は4~5月に東京、神戸でホールコンサートとして進められていたが、新型コロナウイルスの感染拡大で中止。スケジュール再考により、宝塚、東京の本拠地での上演が決まった。望海は「なんとか上演できてありがたい」と言い、約4カ月半遅れての開幕に感謝した。

抜群の歌唱力を誇る望海の個性を生かしたコンサートゆえ、オーケストラボックスこそ使わないものの、楽団による生演奏での進行。客席前列をあけ、ステージと客席の間のエプロンステージ「銀橋」も使っての舞台になった。

前日10日の最終稽古を通した際、望海は「本来なら今ごろ、次の公演の準備に入っていたはず」と感慨深げ。退団日程も、コロナ禍で約半年先延ばしになったが「この4カ月、5カ月(自粛期間は)ほとんど自宅で過ごす日々。私も(宝塚の)ライブ配信を見ていました。おうちにいる時間も宝塚を見られるなんて、すばらしい」とも。入団前は、自身も熱心な宝塚ファンだった望海らしいちゃめっ気トークも披露していた。

今公演をめぐっては、4月の緊急事態宣言より以前に、すでに演出映像を撮り終えており、しばし稽古も中断。7月に花組公演で宝塚歌劇が“復活”した後、8月3日になって、ようやく再集合となった。

退団日も4月11日に決まり、望海は「まだまだ(卒業まで)時間はあります。攻めて攻めて攻めまくる望海風斗から、未知なる望海風斗までをお届けしたい」と、愛する“男役最終章”へ向けて全力疾走を約束。今公演では、念願だったというピアノ弾き語りにも臨んだ。

男役の王道を追求してきた望海は、宝塚らしい色香漂う立ち姿、品位とともに、当代きっての歌唱力でファンを魅了してきた。初舞台ラインダンスから、望海の出演舞台映像も流される中、ファン投票による宝塚ナンバーや、ポップスも歌い上げ、ナオト・インティライミ書き下ろしの「夢をあつめて」も熱唱した。