米国の世界的な音楽プロデューサーのフィル・スペクターさんが15日(現地時間)米カリフォルニア州の刑務医療施設で亡くなったと米国の主要メディアが伝えた。81歳だった。

スペクターさんは、2003年(平15)に女優のラナ・クラークソンを射殺した罪で09年に殺人罪で禁錮19年の判決が言い渡され、カリフォルニア州立刑務所の薬物中毒施設に収監。14年に病院内で倒れ、刑務医療施設に移送されたことが世界各国のメディアで報じられていた。

スペクターさんは10代から音楽活動を始め、58年にロサンゼルスでバンド「テディベアーズ」を結成。解散後、音楽プロデューサーに転じると、多くのスタジオミュージシャンを起用し、長時間をかけて複数のテイクを録音。その音を重ね、エコーをかけて分厚い壁のような音を作る「ウォール・オブ・サウンド」という制作手法を確立した。女性ボーカルグループ「ザ・クリスタルズ」の「ハイ・ロン・ロン」などをヒットさせ、60年代に世界の音楽界を席巻した。

60年代終盤に英国からビートルズが台頭し、ヒットチャートから姿を消すが、70年にはビートルズのメンバー、ジョン・レノン&プラスティック・オノ・バンドの「ジョンの魂」、ビートルズの「レット・イット・ビー」、ジョージ・ハリスンの「オール・シングス・マスト・パス」、71年にジョン・レノンの「イマジン」などを手掛け、復活した。

日本でも、大滝詠一さんや山下達郎ら、多くのミュージシャン、シンガー・ソングライターに多大な影響を与えた。