宝塚歌劇団で組長を歴任し、NHK連続テレビ小説「おしん」(83~84年)で主人公の祖母役を演じた大路三千緒さん(おおじ・みちお=本名・神山美知子)が12日午後6時30分に、兵庫県内の病院で亡くなっていたことが、18日、わかった。100歳だった。16日に教会で、家族だけで葬儀は終えた。

めいで、自身も元タカラジェンヌの葦笛るかさんによると、大路さんは昨年11月末に体の半身がけいれんするなどし、病院で検査を受けたところ、脳梗塞が広範囲に広がっていることがわかった。頸(けい)動脈部分にもつまりがあり、医師からは「いつ何があっても…とは言われていましたが、よく頑張ってくれたと思います」と語った。

その後、容体は安定したものの、コロナ禍で見舞いもままならなかったが、数分だけ面会を許され、手を握ると、握り返すような反応はあったという。

だが、12日に力尽き、クリスチャンだった大路さんは、教会で家族に見送られ、旅立った。葦笛さんはこの日から、劇団や関係各所に連絡を入れており、コロナ禍の収まらない現段階では未定ながら「将来的に、収束すれば、お別れ会なども考えていきたい」との意向も語った。

大路さんは、戦前の1937年に26期生として、宝塚歌劇団に入団。同期には越路吹雪、月丘夢路、乙羽信子らがいた。花組、雪組の組長を歴任し、劇団に在籍したまま、「おしん」や、NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」で主人公の祖母役を演じた。

近年は、宝塚市内の介護付き老人ホームで生活しており、葦笛さんがたびたび見舞い、ともに外食することもあった。

ただ、昨年春の緊急事態宣言以降は、施設での面会が禁止になり、手紙でやりとりしていたという。葦笛さんは「おばは耳が遠く、携帯電話も使えないので、お手紙を書くと、読んでくれていたようです。『コロナが落ち着いたら、おいしい物食べに行こうね』と書いていて、読んでくれていたようですが…残念です」と言い、悔やんだ。

大路さんは90歳頃まで、劇団で後輩の指導にあたっており、退任後だった2014年の劇団100周年当時も、最高齢OGジェンヌとして取材に応じ、思い出を語っていた。

☆  ☆  ☆  

◆大路三千緒(おおじ・みちお)1920年(大9)2月21日、東京都生まれ。37年、立教高等女学校を卒業後に、宝塚少女歌劇団に宝塚歌劇団26期生として入団。同期に越路吹雪、月丘夢路、乙羽信子、東郷晴子ら。主に男役として活躍し、51~52年に花組組長、61~75年に雪組組長を務めた。80年、60歳の定年で退団。劇団に所属していた時代から、退団後も映画、テレビ、舞台でも活躍。映画「世にも面白い男の一生 桂春団治」(56年)や、テレビでは、NHK「阿修羅のごとく」(79年)「おしん」(83~84年)「翔ぶが如く」(90年)のほか、火曜サスペンス劇場、TBS系「渡る世間は鬼ばかり 第6シリーズ」(02年)など多数出演している。妹も宝塚OGで千代薫、その娘、めいが葦笛るか。めいは宝塚大劇場近くで、ショップを開いている。