東京映画記者会(日刊スポーツなど在京スポーツ紙7社の映画担当記者で構成)が主催する第63回ブルーリボン賞が、23日までに決まった。主演女優賞の長澤まさみ(33)は「MOTHER マザー」(大森立嗣監督)「コンフィデンスマンJP-プリンセス編-」(田中亮監督)での演技が評価され、史上初の2年連続主演女優賞の快挙を達成した。

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初の2年連続主演女優賞と聞き、長澤は「宝くじに当たったような気分です。光栄です」と笑みを見せた。2つの対象作から、女優としての幅の広がりを感じさせる。

「MOTHER マザー」では、息子へゆがんだ愛情を注ぐ母を演じた。長澤は「こういう役を演じさせたらどうだろう、きっとできると期待される女優でいることはありがたいです。私の中では1つの成長、新たな扉を開いた」と話した。物語を息子の目線で追っていくと共感しひかれた。息子役の奥平大兼(17)も新人賞の「親子受賞」に、長澤は「うれしいです。これからがすごく楽しみ」と喜んだ。

事務所の先輩、斉藤由貴(54)の助言も支えられた。「『子供が日々新しいことに直面するのと同じように、お母さんも初めて経験することの連続。お互い初めての経験をしているというのを忘れなければいいんじゃない』と言ってくれて、心強かったです」。

「コンフィデンスマンJP」シリーズは、長澤演じるダー子を中心にした詐欺師たちを描いた作品。ドラマから映画になり、新作映画「プリンセス編」は興行収入38・4億円を超えるヒットとなった。個性の強いキャラクター、仕掛けの多い脚本に鍛えられている。「ダー子ちゃんはいろんな人になりすまして人をだます技を持っているので、役の幅を身に付けさせてくれました。1つ1つが自分の糧になっているのを実感してます」。毎回、これで終わり! と思うほど達成感を抱いているが、新作「英雄編」(来年公開)も控える。「世代を超えて楽しんでもらっている。続いたらうれしいです」と言う。

映画賞の常連になっても謙虚さを忘れない。「お客さんのために作品を作りたいという思いで、頑張るという気持ちになれています。一生懸命、片手間じゃなくお芝居したいですね。必死です」と話した。【小林千穂】

◆ブルーリボン賞 1950年(昭25)創設。「青空のもとで取材した記者が選出する賞」が名前の由来。当初は一般紙が主催していたが61年に脱退し、67~74年の中断を経て、東京映画記者会主催で75年に再開。ペンが記者の象徴であることから、副賞はモンブランの万年筆。主演男、女優賞受賞者が、翌年の授賞式で司会を務めるのが恒例。

※第63回ブルーリボン賞授賞式は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、開催を見送ります。