阿部サダヲ(52)が、作家・池井戸潤氏の連作短編集を映画化した「シャイロックの子供たち」(23年2月17日公開)に主演したことが21日、分かった。同氏原作の作品への出演は初めてで「気が付かないところで起きている、お金の怖さと面白さ、身近な人を信じていいのか疑っていいのか? 堪能してみたかった池井戸潤さんの世界!」と喜んだ。21年10月に撮影を終えており、阿部と初共演の上戸彩(36)Kis-My-Ft2玉森裕太(32)らも出演した。
阿部は劇中で、現金紛失事件が発生した東京第一銀行・長原支店のベテランお客様係の西木雅博を演じた。原作と、10月9日からWOWOWで放送が始まる全5話のドラマでは、西木は事件を追う中で失踪してしまう。一方、映画では失踪せずに、部下の北川愛理(上戸)と田端洋司(玉森)とともに事件の裏側を探っていくうちに、メガバンクを揺るがす、とてつもない事実にたどり着いていく。
同じ池井戸氏の小説を映画化し、興行収入17億4000万円とヒットした18年「空飛ぶタイヤ」の、本木克英監督はじめメインスタッフが再集結し、映画にオリジナルの要素を加えた。池井戸氏は同監督らスタッフに厚い信頼を寄せており「原作とも違う、先んじて放映されるドラマ版とも違う、まったく新しい『シャイロックの子供たち』が誕生しました」と太鼓判を押した。
また、原作にはないオリジナルキャラクターとして、柄本明(73)演じる長原支店の客・沢崎肇も登場する。本木組に初参加で、銀行員も初挑戦の阿部は「上戸さん玉森くんはじめ、好きな俳優の皆さんに囲まれて西木を演(や)れて楽しかったし、原作にはない柄本明さんとのシーンがどんなふうに仕上がってくるのか? 楽しみです! 劇場がスーツで埋まったらかっこいいなぁ…」と力を込めた。池井戸氏も「阿部サダヲさんはじめ、上戸彩さん、玉森裕太さん、佐々木蔵之介さんら個性的なキャストも注目ですが、唯一原作にはない柄本明さんの役どころも目が離せません。映像化が難しいこのミステリーをどう解きほぐし、真実を明かすのか。ぜひ劇場に足を運んでいただき、驚倒の顛末(てんまつ)を見届けてください」と期待を寄せた。
上戸は、TBS系で13年、20年に放送されたドラマ「半沢直樹」に出演しており、池井戸氏原作の作品には出演経験がある。そのことを踏まえ「今回こうしてお声掛けいただき、再び池井戸潤さん作品に携わらせていただけたことを純粋にうれしく思います」と喜んだ。玉森も「池井戸さんの作品に携われたことが、とてもうれしく思います」と語った。
出演俳優陣のコメントは、以下の通り。
▽上戸彩(西木の部下で物おじしない窓口担当の北川愛理役)阿部サダヲさんとは初めて共演させていただきましたが、穏やかさの中にユニークなブラックさが垣間見え(笑い)毎日楽しい刺激をいただいていました。現場ではみんなのイジられ役だった玉森裕太くんが、そのキュートさで常にみんなを癒やしてくれていました。人間の欲望がうごめくスリリングな作品ではありますが、和気あいあいとしたとてもすてきな現場でした。この作品を多くの方に、ぜひとも劇場でご覧いただきたいと思っています。何より、私自身が劇場で見れる日を心待ちにしております
▽玉森裕太(上下関係も厳しく自由に出来ない中、閉塞=へいそく=感を感じる営業担当の田端洋司役)阿部サダヲさんをはじめ素晴らしい俳優の方々と一緒に作品作りをさせていただけて、とても勉強になる現場でした。銀行員の役は初めて演じます。30代の経験少ない未熟な青年が葛藤する姿は、どなたにでも感情移入して頂けると思います。ぜひ、劇場でご覧下さい!
▽柳葉敏郎(61=長原支店長・九条馨役)自分にとってはチャレンジでもありましたが、非常に達成感のあるすてきな現場でした。本木監督とは初めてご一緒しましたが、自分の思いにもしっかりと耳を傾けていただいたので、安心して過ごすことができ、映画を撮影していることを肌で感じる日々でした。九条という役は、こんな人もいるのかと驚くようなキャラクターですが、その嫌な人間性が少しでもお客様に伝われば満足です。
▽杉本哲太(57=長原支店のパワハラ副支店長・古川一夫役)池井戸作品でバンカーを演じられたことがとにかくうれしいです。古川という人物は、典型的な昭和のパワハラ上司ですが、その大きな声とは裏腹にとても心の狭い小さな人間なので、そのニュアンスがうまく出るよう、現場で本木監督とも話しながら役を作り上げていきました。さまざまなキャラクターがぶつかり合う、バンカーたちの白熱した演技をぜひご覧頂ければと思っております。
▽佐藤隆太(42=長原支店のエース・滝野真役)主演のサダヲさんをはじめ大好きな演者の皆さん、そして映画愛あふれる素晴らしいスタッフの皆さんの、輪の中で芝居をする事ができて、本当に幸せでした。原作を読んでこの作品を“知った気”になっていた自分に、新たな真実を突きつけられる様な、刺激的な毎日でした。原作ファンの皆様にも、ぜひこの興奮を味わって欲しいと思います。
▽橋爪功(80=滝野に近づく不動産会社社長・石本浩一役)こういう小悪党みたいな役は大好きなので、楽しく演じさせていただきました。映画ならではの緊張感、顔なじみのスタッフ、そして本木監督の的確なサジェスチョン。完成を心から楽しみにしております
▽柄本明(長原支店の客・沢崎肇役)元々好きだった本木監督の作品で阿部サダヲさんとの共演楽しかったです。また私が尊敬する名優、橋爪功さんと久しぶりに現場でご一緒できて大変うれしかったです。
▽佐々木蔵之介(54=事件をきっかけに長原支店を調査に訪れる、東京第一銀行本部検査部・黒田道春役)撮影現場は劇中のごとくヒリヒリ・ピリピリの駆け引きの連続! なんてことはなく、いつもの穏やかな本木組でホッとしました。ただ、私の役もこれが現実なら結構ヤバい橋渡ってます…。原作の小説からもさらに深化した池井戸ワールド、ぜひ劇場でお楽しみください!
製作陣のコメントは、以下の通り。
▽本木克英監督 人間らしく生きるとは何か? なぜ人はお金に執着するのか?働く意味は?自問自答しながらこの映画を撮り終えました。勝者も敗者もいないこの群像劇は一体どこに向かうのか、企業社会を冷徹に見つめ、予定調和に陥らない池井戸潤さんの物語を慎重に追いつつ、心から楽しんで監督しました。複雑な心情をリアルに定着させられる才能ある演技陣を得て、深みのある人間ドラマになったと思います。
▽矢島孝プロデューサー 読めば読むほど複雑で深い迷宮の中に感動があるこの原作小説を、映画化しようなどと思い上がったことを何度後悔したことか。しかし大勢のキャスト・スタッフに支えられ、壁を突破して完成した映画は、えも言われぬ味わいを持ったエンターテインメント作品になりました。一見人が良さそうではあるけれど目の奥底に狂気をはらんだ阿部サダヲさん、その他のキャストも善と悪の境目が曖昧になるような一癖も二癖もあるアンサンブルキャストで、悪人さえも憎みきれない危険な人間模様を、ぜひ映画館という場の暗闇に座って見ていただきたいと、切に願います。



