福士蒼汰(30)が18日、東京・TOHOシネマズ日比谷で行われた、松本まりか(39)とのダブル主演映画「湖の女たち」(大森立嗣監督)公開記念舞台あいさつで「複雑な心中が入り交じる30代なんだな、と」と30代最初の年に感じた、素直な心中を吐露した。

「湖の女たち」は、13年にモスクワ映画祭で審査員特別賞を受賞した「さよなら渓谷」同様、作家・吉田修一氏の小説を大森立嗣監督(53)が脚本まで手がけ、実写化。撮影は22年10月から23年2月にかけ、滋賀県の琵琶湖周辺を中心に行われた。琵琶湖近くの介護施設で100歳の老人が死を遂げたのは人工呼吸器の誤作動による事故か、それとも何者かによる殺人か? 捜査にあたった西湖署の若手刑事・濱中圭介を福士が、圭介が取り調べで出会い、ゆがんだ支配欲を抱いていく介護士・豊田佳代を松本が、それぞれ演じた。

この日、原作の吉田氏の手紙が代読され、その中で福士は「野性的な官能」と評された。

福士は「すごくありがたい言葉を、いただけばいただくほど、もっと、やれるな、やりたかった…という思いがあふれてきて。何か、自分の未熟さを実感しちゃうんですよね、こういう時」と複雑な心境を吐露。「すごくうれしいですし、素直に受け入れたいと思うけれど、やらせていただいて、役者としては大きく変わったし、人としても物事の捉え方、言葉の扱い方が少しずつ変わってきた感覚があって。役者をやるって、すてきだなって思える瞬間のひとつ」と、実感した自身の成長を口にした。

この日は、濱中にパワハラ的な指導をするベテラン刑事・伊佐美佑を演じた浅野忠信(50)と、戦時中に異国の地で目撃したある衝撃の事実を隠し続けている被害者の妻・市島松江を演じた三田佳子(82)も登壇した。

福士は、2人に視線を送り「心の成長が止まらない。先輩の浅野さん、三田さんを見ていても、役者を続けていると、こういうふうに、きれいな風景が見られるんだと体現されている方を目の前にすると、俺も(俳優を)続けたいな」と口にして、笑みを浮かべた。

福士は、出演を決めた理由を問われた初共演の浅野が「やっぱり、福士君を痛めつけられるということ」と答えると「そこですか? ウソです、すみません」と笑った。

浅野が「福士君と、こういう役ができるのが楽しみだと思った。いろいろ、ひどいことを後輩にする役なんですけど、背景になぜ、彼がそういう人間性になったか描いてもらった。絶望の裏返しを演じていて、面白いというか、やりがいがあった」と答えると、福士は「しびれましたね」と初共演の感想を口にした。

「脳みそを使わずに脊髄反射的にお芝居をしようと心がけてうたんですけど、それを体現されている浅野さん。お芝居の憧れの存在が目の前にいるので、毎日、少しでいいから吸収しようと、ずっと見ていたら(キャラが)寄ってきちゃうかな」と笑みを浮かべた。

◆「湖の女たち」琵琶湖近くの介護施設で100歳の老人が不可解な死を遂げた。老人を延命させていた人工呼吸器の誤作動による事故か、それとも何者かによる殺人か。事件の捜査にあたった西湖署の若手刑事・濱中圭介(福士蒼汰)とベテランの伊佐美佑(浅野忠信)は、施設の中から容疑者を挙げ、執拗(しつよう)な取り調べを行う。その陰で、圭介は取り調べで出会った介護士・豊田佳代(松本まりか)への、ゆがんだ支配欲を抱いていく。一方、事件を追う週刊誌記者・池田由季(福地桃子)は、この殺人事件と署が隠蔽(いんぺい)してきた、ある薬害事件に関係があることを突き止める。ただ、捜査の先に浮かび上がったのは過去から隠蔽(いんぺい)されてきた恐るべき真実だった。