3月24日に東京都内のホテルで開かれた、国民民主党の玉木雄一郎代表の政治資金パーティー。広い宴会場に大勢の出席者が集まり、開始前は昼食のカレーライスが供された。対談相手として登場した同党の榛葉賀津也幹事長は「(玉木氏への)物心両面でのご支援に感謝したい」と、出席者にあいさつ。会の開始後も出席者が座るテーブルが追加されるなど、昨年の衆院選以降、「時の人」となっている玉木氏の立場をにじませる一コマにもなった。
昨年10月に衆院選があったばかりだが、今年も選挙イヤーの1年となり、夏には東京都議選(6月13日告示、22日投開票)と、7月には参院選が予定されている。都議選と参院選が重なるのは12年に1度だが、都議選の後に参院選ではなく直後に衆院選が行われた年もある。都議選で躍進した政党が、直後の国政選挙でも躍進するという「連動」の法則は、これまでいくつかの結果に表れている。
今年の都議選に向けては、石丸伸二・前広島県安芸高田市長が立ち上げた「再生の道」が候補者擁立に向けて候補者選定を続けており、昨年の都知事選のような「石丸劇場」の再現となるか、関心が注がれている。そして、「石丸新党」とともに動向が注目されているのが、国民民主党だ。
国民民主は今年に入って、地方選挙でも躍進が続く。3月23日に投開票された4つの市議選(静岡市の清水区と葵区、東京都小金井市、茨城県北茨城市、長崎県諫早市)で5人の新人公認候補がいずれもトップ当選した。北茨城は2位も国民民主の候補。同党は今年1月の北九州市議選でも公認した2候補がトップ当選し、2月の横浜市議補選でも議席を獲得。大分市議選でもトップ当選をしている。与党関係者に話を聞くと「昨年の衆院選後、国民民主党には玉木代表のスキャンダル報道があり代表役職停止となったが、それでも有権者の支持は離れなかったことになる。それだけ彼らが訴える、国民の手取りを増やすという訴えが浸透しているのだろう」と述べ、自分たちの立場への危機感にも触れた。
この関係者は、国民民主は現状の勢いなら東京都議選でも躍進が見込まれると指摘した。2020年に結党された同党は現在、東京都議会に議席を持たない。前回2021年の都議選に初めて公認候補4人を擁立したが議席は獲得できず、得票率は全体の1%にも満たなかった。一方、今回、党側は都議選直後に行われる参院選での東京や首都圏での議席獲得にも直結するとして、榛葉氏は28日の会見で「候補者をしっかり出していきたい」との立場を示した。
都議会でも自民党都連の政治資金パーティーをめぐる裏金事件が、現在第1党の自民を直撃した。都政関係者の間では、小池百合子都知事の就任翌年2017年に行われた都議選で、小池氏が率いた都民ファーストの会が大躍進して第1党に躍り出た時を念頭に、「同様の『地殻変動』『がらがらぽん』が起きるのではないか。その流れに、国民民主が確実に乗ってくるはずだ」と分析する声も聞いた。
都議選が、その直後の国政選挙の結果との連動するというのは前述したが、取材した中でいちばん記憶に残るのは、1993年の都議選だ。その前年に結党され、当時小池氏も在籍した日本新党は、この時初めて参戦した都議選で20議席を獲得し都議会第3党に躍進。その直後の衆院選を経て、一気に非自民8会派による細川政権の樹立にまで至った。2001年には、首相就任直後の小泉純一郎氏が熱烈応援した都議選で自民党が圧勝し、その直後の参院選も勝利。逆に、2009年の都議選で10議席減らした自民党は、直後の衆院選で政権を失った。
永田町では最近、政権運勢で苦境に陥っている石破茂首相の足元の自民党周辺で、参院選後の国民民主などとの連立論や、その際の「玉木首相誕生論」が、まことしやかにささやかれている。かつて、長年対決してきた社会党の村山富市委員長を首相に担いだ自民党だけに「政権維持のためなら何でもあり」(野党関係者)との背景があることも大きいが、国民民主を率いる玉木氏が今後もキーマンであることに変わりはなさそうだ。
石破政権の今後が混沌(こんとん)とする中、東京都議選の告示まで、すでに3カ月を切っている。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)


