不漁が続くサンマの漁獲枠の管理を日本や中国、台湾など9カ国・地域で話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合は18日、資源状況に応じて総漁獲枠を自動的に算出する新たな管理規則を導入することで合意した。2024年の総漁獲枠に適用し、現行の年25万トン以内から22万5千トン以内に削減されることになった。中国や台湾が漁獲量で存在感を増す中、日本は資源回復に向けて管理強化を図りたい考えだ。

サンマの漁獲枠はこれまで資源状況に基づき各国間の交渉で決めてきた。新ルールは、直近の資源水準から算出。毎年の変動幅は対前年比10%までに抑えるという。適用期限は明示しておらず、今後は必要に応じて見直すことも検討する。大阪市内で4日間、協議していた。

日本の23年の漁獲枠は約12万トンだが、実際の漁獲量は約2万5千トンにとどまっており余裕がある。会合に出席した水産庁の福田工審議官は終了後に「削減による流通や消費者への影響は限定的とみられる」と語った。

中国や台湾の漁獲量は日本を上回っており、日本は新規則導入で中国と台湾の量抑制につなげたいとの思惑がある。福田氏は「十分ではないが一定の歯止めとなる水準だ」と評価した。

日本のサンマ漁は近年、歴史的な不漁が続く。温暖化による海水温の上昇で漁場が沖合に移動したとの指摘があることに加え、台湾や中国が日本沿岸に回遊する前にサンマを取り過ぎていることも一因とされる。

会合では、日本とロシアによる排他的経済水域(EEZ)内での合計のサンマ漁獲枠も現行から1割削減し、10万トンから9万トンに引き下げることが決まった。それぞれの枠は設定していない。

昨年の札幌市での年次会合では、23~24年の各年の総漁獲枠を22年比で約25%削減すると決定した。ただ参加国・地域による23年の漁獲量の合計は約12万トンと枠の約5割にとどまり、不漁は共通の課題となっている。(共同)