衆院東京15区補欠選挙の告示日にあった別陣営の街頭演説中、近くで大音量の演説をするなどした行為が選挙の自由妨害を禁じた公選法に抵触するとして、警視庁が諸派新人根本良輔氏(29)や、同候補が所属する政治団体「つばさの党」の黒川敦彦代表(45)ら3人に警告を出していたことが28日、捜査関係者への取材で分かった。

捜査関係者によると、3人は告示日の16日午前、東京都江東区の亀戸駅前であった無所属新人乙武洋匡氏(48)陣営の街頭演説中、約50分間にわたり、近くで大音量の演説をしたり、車のクラクションを鳴らしたりした。警視庁はこの行為が自由妨害の疑いがあるとして18日に警告を出した。

16日の街頭演説では、つばさの党のメンバーが乙武氏陣営の演説中もマイクで話し続けたり、電話ボックスに登って拡声器で大きな声を出したりし、演説がほとんど聞こえない状況になったのを記者が確認した。

根本氏は23日の取材に「妨害する意図はない」と話した。黒川氏は警告を受けた後、動画配信サイトで「俺らの演説を聞いている人もいる」などと主張していた。黒川氏は都知事選(6月20日告示、7月7日投開票)に立候補すると表明している。

公選法は選挙に関する集会や演説などを妨害する行為は選挙の自由妨害罪に当たると規定。1948年の最高裁判決は「聴衆がこれを聴き取ることを不可能または困難ならしめるような所為」を演説妨害と認定している。