公式戦29連勝の新記録を樹立した将棋の最年少プロ、藤井聡太四段(14)が12日、愛知県体育館で開催中の大相撲名古屋場所4日目を観戦した。天才中学生が升席に座ると、観客が詰め掛け、握手や写真撮影を求める人が続出した。館内の「藤井フィーバー」に力士からは「ハリウッドスターが来たのかと…」との声も。打ち出し後は横綱白鵬と初対面し、勝負の気迫を学んだ。

 午後4時すぎ、中入り後の最初の一番、千代丸と佐田の海の取組直前。藤井が師匠の杉本七段とともに現れた。ざわつく館内。向正面の升席に座ると相撲ファンが殺到した。「藤井くん~」のコールが飛び、記念撮影する人、握手を求める人…。

 “大騒動”に花道にいた豪風は「ハリウッドスターが来たのかと思った」と驚いた。NHKの藤井康生アナウンサーは「この相撲をじっくり見ているお客様はほとんどいなかったような状況です」と実況した。土俵の上の塩をつかもうとしていた千代丸は「ざわついていましたね。だれが来たのかと…」と振り返った。

 中入り後から結びまで約2時間、升席から立ち合い、間合いを食い入るように見つめた。「気迫のぶつかり合いを生で体感して、自分もあれぐらいの気迫で盤面に向かっていかなければと思った」。14歳は狭い盤面とはまた違った勝負の世界を堪能した。