無免許運転での人身事故を公表せずに7月の都議選で再選した木下富美子都議(55=板橋区)が9日、発覚から約4カ月ぶりに公の場に姿を見せ、「これからの議員活動の中で答えを導き出させていただければ」と議員辞職はしない意向を示した。

木下氏はその後、所属する公営企業委員会に出席予定だったが、木下氏の参加に理事らが異議を唱えて退席。午後1時開始予定だった委員会だったが、午後11時過ぎに大山とも子委員長らが木下氏に現状では開会できないと通告し、流会が決定。議事運営にも影響が出ている。木下氏はその後も都議会の控え室に戻り、出てこないまま、10日午前0時を迎えた。木下氏は午前0時5分過ぎ、都議会の控え室から姿を見せ、「説明の機会をあらためて作ります」と力なく話し、控え室を後にした。

木下氏は9日、赤いドレス風ワンピースにグレーの上着で登庁。議長らに議員を続ける意思を伝え、取材に応じた。都議会が7月と9月に2度に渡って決議した辞職勧告を「重く受け止めている」としたが、「しっかり償った上で、失った信頼を回復することは大変厳しい道のりであることは覚悟しておりますが、1つ1つ、これからの議員活動の中で答えを導き出させていただければ」と語った。頭を深々と3度下げ、謝罪の言葉は口にしたが、無免許運転や事故の経緯などには「捜査が続いているのでお話が出来ません」と説明しなかった。

3度の召喚状にも応じなかった理由は、体調不良と説明。選挙中から不眠やストレスを抱えていたとし「食べ物が口を通らない日があったり、手がつかなくてイライラや不安にさいなまれたり、寝ずに頑張ってしまうと高揚してハイテンションになる尋常でないような状態」と語った。医療機関を受診し、薬を服用しているという。7月以降に受給した3カ月分の議員報酬の約192万円をNPO法人などの団体に寄付したと報告。政務活動費計150万円は、都に返納する。

都議選で木下氏の応援に入った小池百合子都知事も先月、辞職勧告決議や召喚状に応じない木下氏について「理に反している」と批判していた。【鎌田直秀】