藤井聡太棋聖(竜王・王位・叡王・王将=19)が永瀬拓矢王座(29)の挑戦を初めて受ける、将棋の「第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局」(産経新聞社、日本将棋連盟主催)が4日、千葉県木更津市「龍宮城スパホテル三日月」で行われ、藤井が永瀬を下した。これで対戦成績を2勝1敗として、3連覇まであと1勝とした。

1勝1敗で迎えた、改めての「3番勝負」。永瀬に粘る余地を与えず、ペースを乱されないよう、先に先にと踏み込んだ。攻めをつなげてうまく寄せきった。

勝つと負けるので大違いの1局をしっかりとものにした。負ければ、かど番に追い込まれる。開幕局こそ昨年と今年の王位戦7番勝負で落としているが、タイトル戦の途中で初めて負け越してしまうところだった。

「藤井さんは100のうち99良くても、1悪ければそこをしっかり反省してくるタイプ」。今回の対戦相手で、5年前から練習将棋を行う永瀬はこう評する。その言葉どおり、6月28~29日に行われた王位戦7番勝負第1局、豊島将之九段(32)戦で先に持ち時間を消費してしまったの反省をしっかり生かし、勝利につなげた。

4月に1局しかなかった対局は、7月に入って棋聖戦・王位戦のダブルタイトル戦に、棋王戦挑戦者決定トーナメントが入り、最大6局が組まれている。これにテレビ棋戦なども絡みそう。若き5冠は「間隔が詰まった方がいいです」と、強行軍はいとわない。

一昨年の夏、タイトル戦という大舞台に初めて登場し、棋聖・王位と連続で獲得した。昨年の夏、これらを防衛した上、叡王・竜王と奪取し、今年2月の王将獲得まで突っ走った。今夏もここから勢いをつけられるか。

第4局は7月17日、名古屋市「亀岳林 万松寺」で行われる。

◆棋聖戦 将棋の8大タイトル戦の1つ。1962年(昭37)創設。初代棋聖は、故大山康晴十五世名人。94年度までは半年に1回開催されていた。20年に藤井が17歳11カ月で初のタイトル挑戦、初タイトル獲得を果たすまで、屋敷伸之が第55期(89年度後期)で17歳10カ月24日の最年少挑戦記録を保持。次の第56期(90年度前期)で屋敷は18歳6カ月と当時の最年少記録で初タイトル獲得という舞台になっていた。95年度から年1回に。96年度は当時7冠すべてを保持していた羽生善治現九段が今局の対局場となった「高島屋」で三浦弘行現九段に敗れ、6冠に後退した。「棋聖」は将棋、囲碁で抜群の才能を示す者への敬称。将棋では江戸時代末期の不世出の天才棋士、天野宗歩(あまの・そうふ)がこう呼ばれた

【第93期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負日程】

◆第4局 7月17日、名古屋市「亀岳林 万松寺」

◆第5局 7月27日、静岡県沼津市「沼津御用邸東附属邸第1学問所」