29日午後2時50分ごろ、静岡県富士市のJR富士川駅近くで、ニホンザルが出没した情報があり、市の職員3人と麻酔銃の委託業者1人が捕獲にあたった。

市環境保全部自然保護担当によると、午後3時10分ごろ、委託業者が捕獲の準備で、麻酔銃の空気漏れを防ぐために銃身にテープを巻いていたところ、誤って引き金に触れて、装てんしていた麻酔薬(塩酸ケタミン)を仕込んだ矢が発射された。発射された矢は、ニホンザルを発見して市に通報した市民(成人)の左上腕部に刺さってしまった。

麻酔薬は、体重15キロのサルを動けなくするための分量だったという。撃たれた市民はだんだん意識が薄れ、10分後に意識を失ったという。市民は事故現場からすぐ近くの共立蒲原総合病院に市の車両で搬送された。すぐに処置を受け、意識を取り戻したといい、午後6時ごろには自力で立って歩けるほどに回復したという。

現場にいたニホンザルは逃走し、今もまだ捕まっていない。サルは7月ごろからJR富士川駅周辺に出没し、畑を荒らすなどの被害が出ていた。市では29日と30日の2日間で、サルの出没情報を待って捕獲計画を練っていた。市環境保全部では「あってはならない事故で、なぜこのような事態になってしまったのか、しっかり検証させて、今後事故が発生しないように確認した上で、再びサルの捕獲を再開したい。このたびはご迷惑をかけて申し訳ありませんでした」と話した。【寺沢卓】