立憲民主党の小川淳也税調会長は8日、フジテレビ系「日曜報道 THE PRIME」に出演し、岸田文雄首相が「減税」を掲げて衆院解散・総選挙に踏み切ろうとしているのではないかとの臆測に関し「日本の政治の劣化の象徴だ」と批判した「亡くなられた安倍(晋三)さんの残された、1つの負の遺産」とも指摘した。

自民党の森山裕総務会長が今月1日、政府が10月にとりまとめる経済対策で「減税」が検討されていることを念頭に「税に関することは国民の審判を仰がなければならない」として、減税が解散の大義になり得るとの認識をにじませた。

小川氏はこの発言が紹介されると、安倍氏が2014年に、2015年10月からの消費税再増税の1年半延期などを打ち出し、国民の信を問うとして衆院解散を表明したことに触れ「あの時、国民の多く、我々を含めて『何でこんなことで解散しないといけないの』と、これこそ人気取りだという議論が相当あった。それに慣らされちゃっている」と指摘。「私は森山先生を尊敬していますけれど、森山先生ほどの方でも、こういうことを平気で言うような時代になっている」と批判した。

その上で「議会政治では、国民負担に納得頂くために議会が存在し、そこで合意を得られるものを実行に移す。100歩譲って、減税して、これこれの給付を切り下げてこれで国の財政を正常に運営していきたいからどうだ、というならまだしも、減税して、給付して、その分、赤字国債を積み増しますから信を問います、ではお話にならない」「日本政治の劣化の象徴が、この『減税で解散して信を問う』ということ。みんな透けて見えている。こんなもの、人気取り以上の何物でもない」と批判した。

岸田政権で減税論が浮上していることについても「唐突感があると受け止めている。年がら年中、解散風を吹かせている方ですから、選挙目当ての人気取りという色彩が色濃いんじゃないか」と、推測。「租税政策ですから筋が大事。体系や目的ですよね。何のためなのか、そのあたりが(現状は)不透明だ」とした上で「一般論では、減税政策は基本的に富裕層に有利。物価高騰に苦しんでいるのはむしろ中・低所得者なんですから。かつての定率減税は完全に(所得が)高い人に有利。かつて定額減税もやりましたが、それすらも所得を納められている人しか恩恵がない。所得税を納められない方々もたくさんいらっしゃる」とかつての減税政策を振り返り「何のためなのか、それでどうするのか。議論を筋道立ててやっていただきたい」と、岸田首相にくぎをさした。