英国リーディングジョッキーに6度輝き、05年ハリケーンラン、07年ディラントーマスで凱旋門賞を制しているキーレン・ファロン元騎手(57)が10戦無敗の最強馬バーイード(牡4、W・ハガス、父シーザスターズ)について、同馬の能力を絶賛する一方、凱旋門賞(G1、芝2400メートル、10月2日=パリロンシャン)参戦が実現した場合の気になる点を指摘した。「アットザレーシズ」電子版が30日、同氏を取材した記事を掲載している。

ファロン氏は「もちろん、彼(バーイード)は凱旋門賞を勝てる。2400メートルを走る血統だと思うし、2000メートルを走る血統であることはすでに知っています。ヨーク(英インターナショナルS)を楽しそうに走っていて、最後も止まっていません」と絶賛した。

現時点で凱旋門賞に出走するのかどうかは未定となっており、陣営は馬場状態を理由に挙げているが、ファロン氏はもう一つ、気になる点を指摘している。「彼は軟らかい馬場を望んでいないので、馬場状態は心配かもしれませんね。しかし、確認しなければいけないことがあります。彼が凱旋門賞を念頭に調教されてきていないことです。私は優れた調教師たちとともに凱旋門賞を勝っていますが、勝つためには長期的な目標へ向けて馬をトレーニングする必要があります。(ディラントーマスを管理した)エイダン(オブライエン)はこのようなレースへ向けて馬を調教し、真夏の時期には休養を与えています。私は(バーイードにとって)凱旋門賞がターゲットだったとは思いません。英チャンピオンSが彼のターゲットでした。この点は確認すべきでしょう」。

ファロン氏は気になる点を指摘した上であらためて、バーイードへの敬意を伝えている。「彼(バーイード)は能力的にはすべてを持っています。馬場やレース運び、枠順は問題になるかもしれませんが、彼は世界一の才能を持っています。彼がこのレースのために調教されてきているならば、もちろん、彼の勝利を見ることができます。もし、凱旋門賞に出てきたら逆らえませんよ。(もし騎乗馬を選べるなら)私は彼に乗りたい。(冗談で)どんな凱旋門賞でも最初に聞くのは『アンドレ・ファーブルはどの馬を出走させるんだ?』ですけれどね。今年はエイダン(オブライエン師)は(凱旋門賞を狙う馬が)いないと思います。パイルドライヴァーは人気になるでしょうけど、彼がバーイードを倒せるとは思えない」。

記事ではファロン氏が現在はゴドルフィンの専属調教師であるチャーリー・アップルビー師の下で働いていることを紹介。ファロン氏はバーイードを管理するウィリアム・ハガス師の人柄と手腕を評価している。