新馬戦1着→伏竜S1着→ケンタッキーダービー5着。

このテーオーパスワードの戦績には、夢とロマンを感じる。

しかも、デビューは今年1月6日。年明け時点では未出走の身だった。そこから4カ月後の5月4日(現地時間)には米国頂上決戦の大舞台に立っている。これぞ競馬界のアメリカンドリームだろう。

それは決してラッキーなどではない。ひそかにチャンスをうかがい続けていたからこそ、通じた道だった。帰国した高柳大輔調教師(46)が静かな口調で振り返る。

「絶対に(日本馬に)1枠あるので、ケンタッキーダービーには常に注目していました。毎年、ダートで走りそうな馬を登録していましたので」

米3冠出走には予備登録が必要で、今年は1月29日に第1回が締め切られた。そのリストには高柳大厩舎から7頭が名を連ねている。昨年にも1頭がエントリー。一昨年に登録した2頭のうちレイワホマレは、ケンタッキーダービー出走権のかかるUAEダービーにトライ(6着)した。

今年のテーオーパスワードは「ジャパン・ロード・トゥ・ザ・ケンタッキーダービー」シリーズの最終戦となった伏竜Sを制して挑戦権を得た。2着とは同タイムの頭差。最後のひと踏ん張りで世界への扉をこじ開けた。

開業前に米国で研修していた高柳大師にとっては感慨もひとしおだった。

「並んで馬場を歩いて入っていくのは独特ですし、歓声もすごかったです。日本とは全然違う。馬がイレ込んでいたので、それどころではなかったですけど…」

ただ出走しただけではなく、ダート競馬の本場の猛者たちを相手に5着と健闘した。もう1頭の日本代表フォーエバーヤングの3着惜敗と相まって、世界の頂点への“距離”が縮まったことを実感させられた。

「また、こういう馬が出てくると思います。チャンスがあれば、これからも目指していきます」

挑まなければ勝つことはない。今後も勇敢なチャレンジを応援したい。【太田尚樹】