競馬界で通訳・レースホースコーディネーターとして活躍し、日本馬初のBC競走制覇、日本馬初のBCクラシック制覇など歴史的な瞬間に立ち会ってきた安藤裕氏(46)から今週もコラムが届きました。

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こんにちは。まずはキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークスについてお話ししたいと思います。

今年は日本からマスカレードボールとヴェルテンベルクが挑戦し、日本のファンの方々も注目する一戦でしたが、2頭とも非常に残念な結果になりました。着順だけを見ると、海外の壁に跳ね返されたと思われますが、私としてはやはりイギリスでの調整の難しさを実感させられたと感じます。

まず馬場への適性ですが、この点は、馬の個性である走法も影響するので、馬場に慣らすというよりも相性が問題ではないかと感じます。次に、輸送と現地環境です。輸送に関しては、特に大きな影響を与えていると思う点は、イギリスがEUから脱退した事で輸送時間がより長くなってしまったことです。現在、競馬の主要国の中で、日本からの輸送時間が最も長く掛かるのがイギリスです。人だと直行便で14時間から15時間ほどですが、馬の場合はEU圏からEU圏外へ輸送する場合の手続きなどの影響で、以前より倍ほどの時間を必要としています。また、現地の環境ですが、昔のイギリスより暑いことと雨が少ない事で、調教馬場が非常に硬いのは馬の足元への負担を考えると難しい問題です。

イギリス遠征で日本馬が素晴らしい走りを見せる日は近いと信じて、私自身もサポートする立場として色々と考えたいと思います。世界の壁は高いのではなく、どうその壁を越えられるかが課題だと考えています。ファンの皆様が、世界の競馬へ興味を持っていただけることは非常にうれしいので、引き続き応援をお願いします。

話は変わり、日本では新種牡馬のエフフォーリア旋風が起こっていますが、エフフォーリアの血統の中のケイティーズ一族が本当に日本競馬に合っているんだと実感します。この一族からは、アドマイヤムーンが種牡馬になっていますが、同じ一族から様々な個性を持つ馬が輩出されることは非常に興味深いですし、競馬のブラッドスポーツとしての面白さを強く感じます。今年の秋の活躍、そして来年のクラシックへ駒を進める馬が何頭いるのか本当に楽しみです。今週も雨や暑さで競馬場での観戦は大変だと思いますが、ぜひ夏競馬を現地で楽しんで頂きたいです。【レースホースコーディネーター】(ニッカンスポーツ・コム/極ウマコラム「安藤裕のハッピー(馬)ダイアリー」)

◆安藤裕(あんどう・ひろし)1979年(昭54)10月19日、東京都生まれ。1998年に渡英し、ゴスデン厩舎で馬の基礎を学ぶ。その後は騎手として北米などで騎乗した。ケガで引退後はプロ野球の通訳を経て、2011年に株式会社FELESを設立。調教情報の管理システムを取り扱うほか、外国人騎手の通訳や海外に遠征する日本馬のサポートなど幅広く活躍中。