ハーツクライと挑んで以来、20年ぶり2度目の騎乗で栄冠を狙う。欧州の芝中・長距離路線、上半期王者を決めるキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1、芝2390メートル)が25日に英国・アスコット競馬場で行われる。日本勢からは昨年の天皇賞・秋覇者マスカレードボール(牡4、手塚久)、今年の天皇賞・春2着ヴェルテンベルク(牡6、宮本)の2頭が参戦。全4回にわたる連載の第2回は、マスカレードボールに騎乗するクリストフ・ルメール騎手(47)に、20年前の熱戦やコース攻略のポイントを聞いた。【取材・構成=奥岡幹浩】
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2006年夏、アスコットの長い直線で、凱旋門賞馬とドバイWC優勝馬と有馬記念覇者が火花を散らした。1着ハリケーンラン、2着エレクトロキューショニスト、そして3着はルメール騎手を背にしたハーツクライ。今からちょうど20年前の熱戦だ。
ルメール騎手は当時27歳だった。JRAに完全移籍するのはまだまだ先の話。あの年のキングジョージを、あらためてこう振り返る。
「3着だったレースは、今はいい思い出。直線で先頭に立ったけれど、残念ながら、最後はちょっと苦しくなった。疲れてしまいました」
敗れたものの、見せ場はたっぷりつくった。当時の記事には、直線で先頭に躍り出たときに「どきどきした」とのコメントがある。そのことを覚えているか聞いてみたところ、「もちろん」とにっこり。
「先頭に立って、勝てそうだと感じるときは、どきどきなんで。でも、最後はちょっと止まっちゃいました。相手もすごくいいメンバーだったし」
キングジョージの舞台となるアスコットは、独特の形状をしている。おむすび型の右回りコースは高低差約20メートルと起伏に富んだレイアウト。直線は約500メートルに及ぶ。
「ちょっと特別な競馬場。タフなコースですね。3、4コーナーは結構シャープ。あと、イギリスは競馬自体がちょっとラフ。ぶつかったりするから、気をつけないと」
タフで激しい夏の大一番に、マスカレードボールで挑む。ハーツクライで臨んだあのとき以来、20年ぶりの騎乗だ。
「マスカレードボールはアスコット競馬場に合うと思います。彼はタフな馬。だんだん加速をしていけるので」
コンビを組むようになったのは昨秋から。天皇賞・秋1着、ジャパンC2着、そして4月の香港・クイーンエリザベス2世Cも2着と、国内外の強敵相手に互角の戦いを演じてきた。
「キングジョージにはいい馬がたくさん出るでしょうけれど、マスカレードボールも去年、ジャパンCで世界一の馬にいい戦いをした。そして香港でも、休み明けですごくいい競馬だった」。
ジャパンCで激闘を演じた「世界一」のカランダガンとの再戦となる。ルメール騎手が“夏休み”に入る直前の6月下旬時点で、ライバルとして真っ先に名前が挙がったのもこの馬だ。
「コロネーションCでは馬場が悪くていい結果を出すことができなかった(4着)けれど、もちろん強い」
カランダガンはその後、7月のサンクルー大賞でしっかり巻き返して白星を挙げた。連覇が掛かるキングジョージへ向けて、王者はさらに状態を上げてくるだろう。それでも、挑戦者マスカレードボールの鞍上の自信は揺るがない。
「コンディションが良ければ、チャンスはあると思います」
これまでキングジョージに参戦した日本馬は6頭で、ハーツクライの3着が最高成績。JRAリーディングジョッキーとなった今、自らの手で20年ぶりに塗り替え、頂へと導く。(つづく)

