釣ったアユの総匹数を競う「平成28年度GFG(がまかつファングループ)杯争奪全日本地区対抗アユ釣り選手権大会」(後援・(株)がまかつ)が1日、高知・仁淀川の黒瀬地区などで、各地区予選を勝ち抜いた39選手(レディース含む)が参加して行われた。厳しい状況の中、午前11時すぎからの決勝戦は11選手で戦い、丹羽浩和選手(中部)が6匹(オトリ2匹含む)を追わせ、初優勝を果たした。団体戦は四国地区Aが優勝した。

 得意の攻めを貫いて、表彰台の真ん中をゲットした。丹羽選手は、優勝カップを手に初の頂点の味をじっくりとかみしめた。「G杯アユには3年連続で出場していましたが、今年は予選落ち。だからこの大会で優勝できればと思っていたんですが、出来すぎです」と笑顔で振り返った。

 ホームグラウンドの振草川は流れが緩く、そこで泳がせ釣りを磨いてきた。押しが強いといわれる初体験の仁淀川でも「自分のスタイルで釣ろう」と、オトリを泳がせられるトロ場を探した。

 予選A組を2位タイで突破すると、決勝戦の舞台・黒瀬では、大会本部の上流のトロ場に狙いを絞った。本番前の試し釣りで「流れの緩いトロ場はあそこしかない」と好感触を得ていたからだ。そこに運も味方する。入川順を決めるクジで1番を引いたのだ。迷わず狙った場所に入り、釣り下りながら攻めた。

 今年の仁淀川はアユの産卵期の昨年末に大雨があり、卵や魚が大量に流失。その影響か天然遡上(そじょう)が少なく、全体的に魚影が薄いという。ただ型はいい。そんな厳しい状況下で、底バレが1度あったものの、25センチ級の良型を含む6匹(オトリ2匹含む)を仕留めた。「(入ったのは)比較的狭くて泳がせられる場所。しつこく攻めれば掛かると思いました」。大型アユの引きに対応するため、糸も下見のときより太くして慎重に対応するなど、粘り強く自分の釣りを続け、実力者たちとの僅差の勝負に競り勝った。

 ひとつのハードルを乗り越え、次は「G杯でてっぺんを取りたいですね」ときっぱり。新たな目標が定まった。【高垣誠】

 ◆丹羽浩和(にわ・ひろかず)1963年(昭38)2月11日、愛知県生まれ。同県北設楽郡東栄町在住。自営業。アユ釣り歴33年。ホームグラウンドは振草川。「ミナミ鮎釣会」所属。