モデルで女優の利水つばさ(29)が千葉・村井丸(村井智博船長=58)で、LTタイ五目に挑戦した。現在、釣りビジョンの番組にレギュラー出演中の“ツリジョ”は、「テンヤマダイの経験はあるけど、コマセは初めて」。マダイ、クロダイ、イシダイ等とのごタイ面は果たせるのか。

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まだ薄暗い午前6時。利水は子どものように大きな瞳を輝かせていた。

利水 遊園地に行くみたいにワクワクしちゃう。もともと魚はあまり好きではなかったけど、釣りをするようになって、自分で釣った魚を食べるのがめちゃくちゃおいしくて見方が変わりました。今は自分でさばけます。釣れた時も、子犬を見るような感覚で、かわいいと思えるようになりました。

普段は「準備型」だ。釣りビジョンの番組では入念に下調べをしてから釣りに挑む。だが今回は違った。

利水 今日は先生がいるのですべて教わるつもりで来ました。ビギナーズラックを狙います(笑い)

この日、常連客の内田京司さん(64)武藤篤さん(48)が先生役で乗船。初挑戦にとってはこれ以上ない環境が整った。餌の付け方から丁寧に教わった。「オキアミの尻尾を切ったら真ん中から針を通して、おなかから針先を出して真っすぐになるようにしてください。曲がるとくるくる回って糸が絡んだり、食いも悪くなります」と武藤さん。

先生の教えを実践すると、一発OKが出た。

最初のポイントに着くと村井船長から「水深25メートル。最初はコマセをまいてハリス分(5メートル)見てください」の指示。狙いは底にいるクロダイだ。武藤さんは「着底したらあおって、1~3回リールを巻いたら3メートル上げてみてください。そこでちょっと待ちましょう。タイ類は下がってくる餌を食う習性があります。クロダイのポイントなので、底にコマセをまいて狙います」とアドバイス。

しばらくして武藤さんのさおがしなると、先生の計らいでバトンタッチ。

利水 めっちゃ走ってる。すごい、なにこの引き! 重たい。なんだろう?

姿を見せたのはクロダイだった。その後、左舷後部の武藤さん、左舷先頭の内田さんがヒットするたびに上げ役となり、マダイ、ミノカサゴ、ウスバハギ等を引き上げた。

利水 なんでこのさおだけ通過していくんだ! 本当にもう、シャイだな~。でも、つれない時間も釣りの醍醐味(だいごみ)。最初は「いつ釣れるんだろう」と思っていたけど、今はソワソワしちゃう。どうアプローチするかをいろいろ考えるのが楽しい。

深場、浅場とポイントを変えるが、この日は食いが渋い。常連2人は持てる技を駆使してのヒットだった。最後は内田さんの席に移動してまで挑むが、結果は空振り。利水はエソとキタマクラを上げるにとどまった。

先生役の2人は「今日は渋かった。何をしても食いに上がってこなかった」と口をそろえた。村井船長は「水温16度とまだちょっと低めで活性が低かった。でも、まだシーズンは始まったばかり。これから楽しめると思います」と胸を張った。

利水 めちゃくちゃ楽しかった。終わってから「あっ、今日渋かったんだな」って。でも、いろんな魚の引きを楽しめた。常連さんのアプローチの仕方が1つ1つ違うので、今日はその基礎を学ばせていただきました。次回は自分で考えながら出来るように頑張ります。

次回のリベンジを誓った。【川田和博】

◆利水(としみず)つばさ 1991年(平3)5月2日、兵庫生まれ。母親が台湾人、父親が日本人で、5歳から日本在住。大阪学院大学在学中からモデル活動開始。17年11月、BS-TBS「釣り百景」で釣りをスタート。20年3月から釣りビジョン「TSURI na KIBUN」にレギュラー出演中。168センチ、血液型A。

▼保田「村井丸」【電話】0470・55・1121。LTタイ五目は1万円(コマセ3キロ付き)、アジはコマセ・氷付きで9000円。船宿集合5時、出船6時。車の場合、受け付けを済ませたら船宿で駐車証をもらい、少し離れた船着き場の指定駐車場へ。初めての場合、船宿のスタッフに頼めば、常連さんの車に先導してもらえる。最寄りのインターは館山道鋸南保田だが、インターや船宿の近くにはコンビニがない。東京方面からの場合、1つ手前の富津金谷で降りて保田・館山方向に走れば、浜金谷港のフェリー乗り場近くと、元名(もとな)海岸近くの国道左側にセブンイレブンがある。館山方面からなら、鋸南富山で降りて安房勝山駅近くのファミリーマートが便利。

<記者2度目の釣りは…>人生2度目の釣りはLTタイ五目。52歳初の挑戦はほろ苦い結果となった。内田さんの教えで船中1発目のマダイを釣り上げるも、その後、さおがしなることはなかった。常連2人の教え通りにやっているつもりだが、自分には掛からない。いったい何が悪いのだろうか。2人に聞いても「今日は渋かったから。そういう日もあります」と優しい返答。前任の釣り担当に疑問をぶつけると「タナが違う」と即答。「20センチ違うだけで魚は釣れない!」という言葉に、シビアな世界を痛感した。

そして何より驚いたのがオキアミがエビではなく、プランクトンの一種ということ。これを社内の釣り班に話すと絶句されたのだった。