ロカボって知っていますか? ご飯やパンなど糖質が多い食事を控えめにするロー・カーボハイドレート(低糖質)の略語です。緩やかな糖質制限食のロカボを提唱する東京・北里研究所病院の山田悟・糖尿病センター長(46)が、おなかいっぱい食べてもやせられる「ロカボでダイエット」を教えてくれます。

 ◇ ◇

 「一生懸命、腹八分目で我慢したら何かいいことがあるだろう」。米国のグループが2013年に次のような報告をしています。

 カロリー制限で頑張ったグループと、そんなことをしなかったグループを比較しました。カロリー制限グループは、1日1200~1800キロカロリーに抑えるよう指導しました。これはアメリカ人にとって腹六、七分目くらいにしかなりません。

 空腹で我慢する生活が10年間続きました。さあ、これで米国人の死因で最も多い心臓病が減ったでしょうか?

 結果は、カロリー制限をしても、心臓病は予防できませんでした。「何か減ったものがあるはずだ」と懸命に探しました。すると、減っていたものがありました。

 「骨密度」です。要は、カロリー制限で骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまったのです。骨や筋肉を削ってしまうのがカロリー制限です。

 いま、メタボリック症候群と並んで、ロコモティブシンドローム(運動器症候群=略してロコモ)が注目されています。年齢とともに、骨や筋肉が衰え、寝たきりになってしまうことをロコモと言います。

 健康のため、美容のためと、カロリー制限する人は多いですが、骨や筋肉を減らすリスクがあります。

 一方、緩やかな糖質制限食のロカボは糖質を控えるだけで、肉や魚などのタンパク質、脂質を積極的に食べることを勧めています。骨や筋肉を削ることはありません。ロカボはメタボに効果があるばかりでなく、ロコモ予防にもなります。

 ◆山田悟(やまだ・さとる)1970年(昭45)1月1日生まれ、東京出身。慶応大学医学部卒。東京・港区の北里大学北里研究所病院糖尿病センター長として、糖尿病患者のQOL(生活の質)向上を目指す。緩やかな糖質制限食ロカボで、おいしく食べて健康に-を目標に2013年11月、一般社団法人「食・楽・健康協会」を設立し、ロカボの普及に努めている。