睡眠は心の健康に影響する。「4週間でぐっすり眠れる本」(さくら舎)の著者で、睡眠の改善で心身の健康をめざす「目覚め方改革プロジェクト」のメンバー、東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義(いさ)准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)は、こう話す。

「最近の研究では、うつと一緒に不眠が前駆症状として出てくるといわれています。うつ病になった人の9割には不眠があることや、うつ病が治った人でも不眠の症状は残りやすいといわれています。そのため再発しやすいというわけで、不眠とうつ病は切っても切れない関係なのです」

不眠を治すカウンセリングで、うつもよくなるという。

「不眠に対するアプローチをすると、うつまで治ってしまうということを考えると、睡眠の乱れが気分の不安定性に非常に大きな影響を与えているのではないかと思います。反対に、睡眠が良好に整うことで、気分の落ち込みをかなり軽くできるのではないでしょうか。それでもまだ悩みがあれば、そこにアプローチすれば、より効果が出やすくなるでしょう」

睡眠時間はネガティブ感情にも関係がありそうだ。

「睡眠時間が短いと、抑うつの気分が強くなる。一方、睡眠時間を長く取ればいいというわけではなく、体が必要としている時間を規則正しくとることが大事なのです。例えば、夜11時に寝て朝6時に起きるという人ならば、しっかりと寝ればいいのですが、不規則になってしまうと、同じ平均睡眠時間であっても、体調が悪くなるといわれています。つまり同じ睡眠時間を規則正しく取ることがコツです」

寝ている間に夢を見るのが、レム睡眠。

「レム睡眠が出た後に起こされた人の感情がどうか調べると、レム睡眠を経た人のほうがハッピーな感情が出やすい。恐怖感情が減るといわれているのです。人間は眠ると必ずレム睡眠が出てくるので、しっかり眠ることがとても大切だと思います」