20年世界スプリント総合王者で、男子500メートル金メダル候補の新浜立也(25=高崎健康福祉大職)が、まさかの20位に沈んだ。スタートからわずか3、4歩でバランスを崩し、前のめりになった。その後、必死で追い上げたが、1度乱れたリズムは戻らず。金メダルの高亭宇(中国)から0秒80遅れの35秒12でゴール。五輪初出場で、レース後はぼうぜんだった。

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これが五輪の難しさか。まるで悪魔に魅入られたかのように、いきなり新浜の体が前のめりになった。「右足(のエッジ)を氷に2回ぐらい刺した。そこを修正できなかった」。100メートルは10秒11で出場30人中28位の通過。必死で追い上げたが、1度乱れたリズムは戻らなかった。

五輪初出場ながら、最も期待された最終の15組目のスタートだった。同走のデュブルイエ(カナダ)がスタートで少し動き、フライングがあった。やり直しになったが「先週のタイムトライアルでもフライングがあったが、しっかりスタートできていた」と、動揺はなかった。

8組目で、34秒32の五輪新記録を出した高のタイムにも、「34秒20だと厳しい。だから、34秒32は想定内だった」。重圧も感じず、冷静にスタートしたつもりだった。だから「現状、理解していない。自分でも何で起きたか分からない」と、原因をつかめない。

北方領土の国後島まで海を挟み20キロ程度という位置にある北海道別海町の出身。父聖勝さん(53)が漁師だという影響を受け、中学卒業時は本気で「漁師になりたい」と話していたほど、釣りが好きだ。その夢はいったん脇に置き、今はスピードスケートで五輪王者を目指すために北京に乗り込んだ。

五輪初出場ながら、日頃から「五輪は特別な大会だとは思っていない」と繰り返した。その真意は「スケート人生の目標は全タイトル制覇」だから。五輪はその1つに過ぎないという発想だ。その夢は「未熟でした」と、わずか3、4歩で敗れた。

しかし、「悔しさは1ミリもない」と前を向く。「ミスは出たが、しっかり楽しんでできた」。18日に行われる1000メートルに向け「ミスなく自分のレースをしっかりしたい」と、立て直しを誓った。