東京オリンピック(五輪)のメンバーを見て思ったのは「うらやましい」と「難しい」だった。リオの海外組は実質1人(南野)。J1で定位置をつかんでいた選手も多くはなかった。今回は海外組9人に国内でも不動のレギュラーばかり。自分も当時は悩み抜いたけど、選べる選手の幅がより広い森保監督はもっと難しかったと思う。

5年前は、あってはならないことが起きた。久保裕也(ヤングボーイズ)の招集断念。開幕の49時間前だった。裕也は本当に悔しがっていたし、チームの計算も狂ったけど、いい教訓になった。大会後、日本協会への報告書で「海外移籍の契約書に五輪出場を認める条項を盛り込むべき」と提言した。今大会の招集に生かされていれば報われる。

オーバーエージ(OA)枠の(吉田)麻也はサプライズだった。A代表の主将を招いたところに自国開催への覚悟を感じたね。(酒井)宏樹もロンドン4強の経験があるし、リオで主将を託した(遠藤)航の存在も大きい。このOA3人は最強と呼んでいいだろう。A代表経験者もリオが6人で今回が15人。東京五輪も見越してAと五輪の監督を兼任させた成果でもある。

反対に自分は北京、ロンドンの舞台に立った(本田)圭佑や清武らA代表の主力を呼べなかった。経験者不在、と批判されたけど「だから修羅場をくぐらせに行くんだ」と言い返した。そしてリオの悔しさを知る選手が東京に絡むべきだと思っていたので、航に期待したい。1次リーグで敗れたが、ナイジェリア戦を落とした後、コロンビアに0-2から追いつき、スウェーデンに勝った。リバウンドメンタリティーを学んだ航が借りを返してくれる。

個人的にも出場して幅が広がった。五輪監督が大会後にA代表コーチとして残ったのは初らしく、経験を18年ワールドカップ(W杯)ロシア大会につなげた自負はある。今はJから代表選手輩出を目指し、22年W杯カタール大会は日本サッカー界の発展を大いに“語ーる”場にしたい。

そのためにも東京で金メダルを。我々が当時48年ぶりのメダル獲得で後押しできれば良かったが、活動2年半で78人を招集し、国際試合39戦、練習試合12戦で鍛えた歴史は確実に息づいている。地球の裏側まで応援してもらえた五輪に逆風が吹くとは想像できなかったけれど、日本の未来に必要な金メダル。国民の皆さん、会場での“酒”は“避け”て応援してください。(354人目)