五輪5大会連続メダリストで、日刊スポーツ特別コメンテーターを務める谷亮子さん(48)が自身の獲得した2004年アテネ五輪以来、柔道女子48キロ級で金メダルを獲得した角田夏実(31=SBC湘南美容クリニック)の強さを分析した。
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表彰台で君が代を聴きながら涙する角田選手を見ていると、すがすがしさを感じました。大会前に2度、お会いしています。金メダルへの思いを聞いていただけに、胸を揺さぶられました。
金メダルを導いたともえ投げ。芸術的ともいえる必殺技はまさにオリジナリティーにあふれていました。一般的に流れから片足で投げることが多い技。ところが48㌔級では161センチと長身の角田選手の場合、潜り込んで相手を両腕で引きつけながら、両足で持ち上げます。投手の2段モーションのように、そこで一瞬止まってから長い脚で相手をコントロールしながら投げる。相手の重心を完全に確保してから技を繰り出す形になるので、決まる確率も高まるのです。
トップ選手は相手に研究を尽くされます。角田選手の場合はともえ投げから腕ひしぎ十字固めの必勝パターンはもちろんですが、他にも豊富なバリエーション、技の技術を習得。ともえ投げを「好きな人」とも例えているとも聞きます。自分を信じてこのパターンを徹底的に磨き、警戒した相手が術中にはまるほどの精度に高めたのです。
31歳での初五輪初金メダルとなりましたが、もともと勝負強い選手でした。52キロ級時代の16年から18年にかけては阿部詩選手に3連勝。その時も得意のともえ投げ、腕ひしぎ十字固めを決めています。その後48㌔級に階級を変えて、前回東京大会こそ出場権を逃しましたが、最近の世界選手権は3連覇と敵なしの状況でした。30歳を超えてから充実した実力を発揮するようになっています。
五輪初日に金メダルを取ったことは、チームジャパンにとって大きな意味があります。日本オリンピック委員会(JOC)は、今回のパリ五輪の金メダル獲得数を20個とする目標を掲げています。その目標に向けて日本チーム全体に勢いを与えました。もちろん柔道にとっても意義ある金です。東京大会の活躍後も国内の柔道人口は減っています。五輪初日の金メダルは柔道の盛り上げにもつながるのではないでしょうか。
永山選手自身は準々決勝の敗北は納得できなかったかもしれません。金メダルを目指していただけに、悔しかったと思いますが、気持ちを切り替えて敗者復活戦から銅メダルを獲得したことは素晴らしかったです。柔道家の精神を見ました。初日に大役を果たしてくれた2人に拍手を送りたいです。
(日刊スポーツ特別コメンテーター・谷亮子)



