男子62キロ級で初出場の糸数陽一(25=警視庁)がスナッチで133キロ、ジャークで日本新記録の169キロを上げ、日本新のトータル302キロで4位に入った。

 6回すべての試技を成功し、日本記録を16年ぶりに塗り替えると力強いガッツポーズを決めた。3位まではわずか3キロ。自信たっぷりに臨んだ初めての五輪で、メダルにあと1歩まで迫った。それでも「表彰台が見えていたので悔しさもあるが、内容には満足」とすがすがしい表情だった。

 「神の島」と言われる人口200人の沖縄県の離島、久高島に生まれた。海の底に潜って岩を引き揚げ、漁に使う網を引く。160センチと小柄な体に秘める力は、自然の中で遊び培った。

 母子家庭で育ち、6人きょうだいの長男。今回リオに応援に来られず沖縄にいる母幸子さんや、弟妹らを東京五輪に呼び、金メダルを見せるのが夢だ。大舞台で300キロ以上を出せたことで「新しいステージに立てた」。まだ成長途中。29歳で迎える4年後まで「もっと練習して、精度を上げれば、メダルはとれる」と自信は深まった。