<陸上:日本選手権>◇4日◇ヤンマースタジアム長居◇女子5000メートル

今季1500、3000メートルで日本記録を樹立した田中希実(21=豊田自動織機TC)が、21年に延期となった東京オリンピック(五輪)代表に内定した。トラック、フィールド種目では内定第1号となった。

15分05秒65を記録し、優勝。レース前時点で五輪参加標準記録(15分10秒00)を突破しており、五輪内定は優勝が条件だった。

    ◇    ◇    ◇

普段は同大スポーツ健康科学部3年生。陸上部には属さず、父健智さんと二人三脚で歩む田中の進化の一因に「文武両道」がある。

ゼミ活動が主となる今年。学会の論文などを熟読し、高地トレーニングについて調べることがあった。普段、合宿を行う岐阜側の御嶽山は標高約1800メートル。幼少期から当たり前のように家族で通ってきたが「『父のメニューはこういうところが理にかなっている。理論的に合ってくるんだ』と思った」。日々の練習の意味、効果を確認した。

1500、3000メートルで日本新記録を樹立。飛躍した今季、健智さんは「『これだけの距離、量をやりました』では全く意味がない」と繰り返してきた。ジョギング中のペース設定など、細かな部分に仕掛けがある。だからこそ、親子はきめ細かく意見交換する。父は「練習を理解し始めたから、身についているんだと思います」。頭と走りがつながっている。【松本航】