宇都宮で完全Vを飾った尾崎睦(撮影・栗田文人)
宇都宮で完全Vを飾った尾崎睦(撮影・栗田文人)

宇都宮ミッドナイトは、特にガールズが熱かった。

29日の決勝は尾崎睦が最終2角まくりで今年11回目の優勝を飾った。予1、2ともに力強いまくりで制しており、堂々の完全V。500バンクでいつも以上に躍動していた印象だ。現在賞金ランキングは5位。年末静岡のガールグランプリへ向けて今が正念場で、現在同6位の鈴木美教との直接対決だったが「目先の(賞金の)小さいことは気にしない。自分らしいレースをしたい」と自力勝負にみじんの迷いもなかった。めっちゃ格好いいぞ!

プロレスに例えれば、ベビーフェースではないが、絶大な人気を誇るヒール。この勢いでガールズグランプリを盛り上げてほしい。

外国人選手も意識する鈴木美教(撮影・栗田文人)
外国人選手も意識する鈴木美教(撮影・栗田文人)

その鈴木も予2では道中外並走になり「大丈夫か?」とファンをヒヤヒヤさせたものの、そこで粘って直線抜け出し快勝。「(ペースが)合っちゃったので外で(無理せずペダルを)回してました。外国人はこの状況から勝つので、自分も同じようなレースができればと思って。周りからは“死んだふり”って言われますけどね」と涼しい顔で振り返った。こちらも、めっちゃ格好良かった。この2人は小倉、そして静岡と舞台を移しても好勝負を繰り広げてくれるに違いない。

宇都宮で準優勝した斉藤由紀(撮影・栗田文人)
宇都宮で準優勝した斉藤由紀(撮影・栗田文人)

その決勝で尾崎の2着に入ったのが斉藤由紀だ。予1でまさかの最下位7着に沈み、検車場で号泣。「明日(予2)は絶対に頑張る」と気持ちを立て直し、その予2は最終1角からの豪快な先行で2着に粘ると、続く決勝は尾崎追走から直線鋭く差し足を伸ばし、タイヤ差まで迫った。ガールズ取材歴が浅い当方が言うのも何だが、1節間でこれほどのV字回復を果たした選手は見たことがない。悔し涙は決して無駄ではなかった。いや~、めっちゃ、格好いいぞ!

ふなっしー1号と荒川ひかり(撮影・栗田文人)
ふなっしー1号と荒川ひかり(撮影・栗田文人)

最後は荒川ひかりだ。同選手は「ふなっしー」カラーのフレームで知られるが、5場所前の京王閣から黒を基調としたフレームに変更。聞けば「簡単に言うと、以前のフレームは長距離、今回のは短距離のタイプです。フレームを替えるといろいろ違和感があると聞くけど、私はそれが全然なかった。(ふなっしー)2号もいい感じ。これからもっと良くなりそうです」と話していた。

今節は予1で2着に入りながら予2で失敗して決勝に乗れなかった。この時に見せたこれ以上ない悔しそうな表情は、当方、生涯忘れない。最終日は当然、きっちり1着フィニッシュ。格好良かった。今後が楽しみな1人だ。

競輪担当に復帰して約10カ月。ガールズの真剣さとすごみに、日に日に圧倒されつつある自分に気づく。【栗田文人】

ふなっしー2号と荒川ひかり。サドルの下にふなっしーカラーがチラリ(撮影・栗田文人)
ふなっしー2号と荒川ひかり。サドルの下にふなっしーカラーがチラリ(撮影・栗田文人)