松浦悠士(32=広島)が20年福井大会以来2度目の大会制覇を果たした。
俊敏な立ち回りでコースをこじ開け、直線で外を伸びてゴールを駆け抜けた。ビッグレースは昨年7月の玉野サマーナイトフェスティバルに次ぎ、7度目のVとなった。
新田祐大は落車のアクシデント(再入8着)に見舞われた。
思いの丈を拳に込めて、松浦はガッツポーズを繰り返した。「2月まで苦しかったし、うれしさはかなりあった」。苦しい心境から、ようやく解き放たれた。
今年初戦の和歌山G3は体調不良で当日欠場。失ったリズムを立て直せず、復帰後も本来の俊敏な動きは影を潜めたままだった。
それでも「足の感じは全日本選抜からずっといいし、迷いがなくなって何とかなるかなという感覚はあった」と臨んだ今大会。「最低でも2着以内。ここで結果を出さないと、という思いがあった」と明かした悲壮な決意が実を結んだ。
今シリーズも、決して楽な道のりではなかった。初日特選は、目標の松本貴治が当日欠場。犬伏湧也をマークした準決は、あわや落車しそうになる大きな不利も受けた。「でも、準決でこけなかったことで救われた。運があって、それが優勝にもつながったのかな」と振り返った。
迎えた大一番も「読み通りで思った通りの展開。8番手になったが、落ち着いていけた」と言うように、松浦の意のままにレースは動く。バックで古性と接触した新田が落車するアクシデントはあったが「脇本さんの外を行きかけたが合わされると思って、内しかないと瞬時に判断できた」。脇本の内をすくって古性後位に切り抜けると、一心不乱にペダルを踏み込んだ。
ウィナーズカップは自身が20年、盟友の清水裕友が21、22年と勝っており、これで中国勢の4連覇となった。春の訪れを告げる大会は、覇権奪回へのプロローグだ。【中嶋聡史】
◆松浦悠士(まつうら・ゆうじ)1990年(平2)11月21日、広島市生まれ。市立広島工で自転車を始め、競輪学校(現養成所)98期生として10年7月に熊本でデビュー(予選1着、準決3着、決勝2着)。G1は19年小倉競輪祭、20年名古屋オールスター、21年京王閣日本選手権と3冠。G2は20、23年ウィナーズカップ、21、22年サマーナイトフェスティバルでV。通算1134戦331勝。通算獲得賞金は7億9688万6411円。168センチ、73キロ。血液型O。